なにわ筋線に阪急電鉄参加、各社への波紋:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)
“なにわ筋線”構想に新たな展開だ。阪急電鉄が参入を表明し、直通運転を見込んで十三から北梅田へ新線を建設したいという。その構想の先には、宿願の新大阪駅延伸がある。一方、中之島線を持て余す京阪電鉄にも商機が見えた。
その中之島駅では京阪電鉄がなにわ筋線の開通を待っている。京阪電鉄は関西大手私鉄で唯一、キタにもミナミにも乗り入れていない。起点は淀屋橋だ。実は、キタとミナミの呼び方の基準になった場所は淀屋橋。ここから南側の心斎橋あたりまでが船場と呼ばれ、商都大阪の中心だった。大阪市役所も淀屋橋付近にある。船場に集まる人の娯楽の場所としてキタとミナミが発展した。
しかし、淀屋橋はキタからもミナミからも離れている。御堂筋線に乗り換えれば新大阪にも大阪にも行ける。しかし関空へのアクセスは不便だ。阪急電鉄と同じ悩みを抱えている。都心方面の延伸として中之島線を開業させたけれども、こちらの乗客数も期待外れだった。開業時より運行本数は減っている。その中之島がなにわ筋線につながれば、新大阪にも関空へも簡単にアクセスできる。なにわ筋線への直接投資は中之島駅の改良くらいだ。ホームが離れてしまうとしても、動く歩道を作る価値はある。京阪電鉄にとってありがたい話だ。
大阪府はJR在来線と軌間が同じ近鉄南大阪線との直通も構想している。実現すれば、新大阪〜吉野間の直通も可能になる(出典:相互乗入れ・乗継改善 検討案 たたき台 平成27年度版大阪府 都市整備部 都市交通課)
新大阪駅はリニア中央新幹線の早期開通も決まり、北陸新幹線もやってくる。関空を生かすためのなにわ筋線構想だけど、新大阪を核とした鉄道ネットワークが充実すれば、2009年4月に自治体も鉄道も経済界も賛成しただけのことはある。
なにわ筋線に対する期待はとても大きい。阪急新大阪連絡線と合わせて、阪急〜南海ラインが実現するか、民営化された大阪地下鉄が四つ橋線を西梅田から北梅田への延伸を検討するかもしれない。今、日本にある新路線計画の中では最も盛り上がりそうな路線だ。どのような形で正式合意に至るか、今後の動向に注目だ。
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