渡辺謙の不倫スキャンダルが、世界で報じられない事情:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
最近、俳優・渡辺謙のスキャンダルが話題になった。『週刊文春』が彼の不倫疑惑をスクープしたわけだが、いまのところ海外メディアはこの問題を報じていない。ハリウッド映画の「アクター」であるにもかかわらず、なぜ海外メディアはこの疑惑を取り上げないのか。
英国人には大して知られていない
タブロイド文化が普及している英国のメディア関係者にも話を聞いた。この人物は著者の質問に、「渡辺謙が取り上げられないことは何ら不思議ではない」と言う。その理由は、ブル氏同様に「ランゲージ・ギャップ(言葉の壁)」があるとする。
だがこの人物によれば、理由は他にもある。「そもそも渡辺謙は英国人には大して知られていない。映画好きで『SAYURI』のような映画を見た人なら渡辺謙のことを知っているかもしれないが、トム・クルーズなどと比べると、彼が不倫したニュースはインパクトがない」
英国メディアは、それよりも政策などに影響を及ぼしかねない政治家のスキャンダルのほうが話題になるという。「ただタブロイドは基本的に英国の俳優に絞っていると思う」
日本では「世界的スター」と言われる渡辺謙は、もしかしたら不倫が話題になるような俳優ではなかったということかもしれない。誤解のないように書くが、だからといって、彼が俳優として優れていないというわけではない。ただゴシップとして取り上げるに値しなかっただけ、ということだろう。
『トウキョウ・リポーター』の記事が、欧米メディアでどう拾われ、ニュースとして展開していくのか(または、しないのか)は注目である。ただ日本ではメディアが放って置いてはくれない。現在本人はロサンゼルスに滞在中のようだが、芸能マスコミは、世界的スターの帰国を今か今かと待ちわびている。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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