渡辺謙の不倫スキャンダルが、世界で報じられない事情:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
最近、俳優・渡辺謙のスキャンダルが話題になった。『週刊文春』が彼の不倫疑惑をスクープしたわけだが、いまのところ海外メディアはこの問題を報じていない。ハリウッド映画の「アクター」であるにもかかわらず、なぜ海外メディアはこの疑惑を取り上げないのか。
不倫話を報じられない背景
まず話を聞いたのは、日本のニュースを英字で海外に紹介するサイト『トウキョウ・リポーター』の編集長であるブレット・ブル氏だ。このサイトが興味深いのは、ロイター通信やAP通信などでは海外に向けて報じないネタも記事にしているところだ。日本の週刊誌や夕刊紙で報じられた話でも、海外の読者が興味をもちそうな話は英語にしてアップしている。
ブル氏は、渡辺謙の不倫話が報じられない背景には、言葉の壁があるという。氏曰く、「言葉の壁というのが報じられない大きな理由になっていますね。欧米メディアは日本について報じる場合、日本のメディアの情報に頼っている。英字メディアの人たちは認めたがらないが、これが現実です。例えば米国で今回のニュースが取り上げられたいなら、誰かが文春を読んで、内容を英語に訳す必要がある」。
そして問題となるのが、誰が訳すのかということだ。「朝日新聞や毎日新聞、読売新聞は英語で記事を提供しているが、そうしたゴシップまたは噂のような話を英語にして報じるとは考えられない」と、ブレット氏は指摘する。そしてそれは、「ニューヨーク・タイムズ紙やワシントンポスト紙、AP通信、AFP通信など日本にオフィスを置いている海外の大手報道機関にも言えることだ」という。
もっとも、ブレット氏が認める通り、だからこそ「トウキョウ・リポーター」のようなサイトが存在するのである。「私はいつも、日本で報じられる大きいと言える話題が、言葉の壁があるというだけで、あっけなく注目されずに終わることに驚いているのです」
ちなみに取材を行った4月3日午後、つまり文春の記事が出版されてから5日後に、「トウキョウ・リポーター」は英語で渡辺についての報道を紹介する記事を掲載した。日本発の英字記事としてはおそらく初めてだろう。ブル氏は、彼の記事を欧米メディアが拾うかどうか「待ってみましょう」と伝えてきた。
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