渡辺謙の不倫スキャンダルが、世界で報じられない事情:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
最近、俳優・渡辺謙のスキャンダルが話題になった。『週刊文春』が彼の不倫疑惑をスクープしたわけだが、いまのところ海外メディアはこの問題を報じていない。ハリウッド映画の「アクター」であるにもかかわらず、なぜ海外メディアはこの疑惑を取り上げないのか。
なぜ渡辺謙の不倫疑惑を報じないのか
本題に入る前に、まずいくつかはっきりしておきたい。第一に、渡辺謙がいくつもの有名映画に出演し、成功している俳優であることは間違いない。事実、Googleで「渡辺謙」をニュース検索すると、例えばハリウッド版の映画『GODZILLA ゴジラ』の続編に彼が続投するかどうかが報じられて注目されているし、その他の映画に絡んだニュースでも名前が取り上げられている。
第二に欧米のエンターテインメント界は、ゴシップが大好きである。ハリウッド俳優や歌手などのスキャンダルを扱ったゴシップ雑誌はいくつもあり、ゴシップ専門の有名テレビ番組もあれば、人気サイトもある。またパパラッチも数多く存在し、スターとパパラッチの小競り合いがまた話題にもなる。
時々、「ハリウッドでは不倫なんていうのはあまりに普通すぎてニュースにならない」という話を聞くが、これは間違いだ。不倫問題は常にメディアを賑(にぎ)わしており、欧米でも格好のネタである。最近で言うと、アンジェリーナ・ジョリーとの離婚にいたったブラッド・ピットの疑惑も大きく報じられている。もちろんハリウッドスターはセックスとドラッグに関するスキャンダルが多いが、だからといって当たり前すぎて報じられない、ということはない。
しかも今回の不倫は、報道が正しければ、妻である女優の南果歩氏が乳がんの闘病中に進行していたという。病気と闘う妻を裏切り、若い女性に走るという構図は、欧米でも女性を中心に読者から感情的な反応が出やすい。言い方は悪いが、それだけ注目される可能性がある。
唯一報じない理由があるとすれば、訴訟問題である。米国は言わずと知れた訴訟大国で、俳優にとってマイナスになるようなガセネタの場合、訴訟で多額が請求されてしまう。ただ今回の渡辺謙のケースのように、第一報を報じた引用先がある場合には、それがリスクヘッジになり、訴訟される可能性も低くなる。日本の週刊誌が報じたのなら、「文春によると〜〜」と、報じない手はないのである。
では、これだけエンタメ・メディアで取り上げられる条件がそろっているのに、渡辺謙の不倫疑惑が報じられないのはなぜなのか。米国と英国の関係者にこの質問をぶつけた。
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