ジャーナリストの執拗な質問に、なぜ大臣は“切れて”しまったのか:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
フリージャーナリストの執拗な質問を受け、今村復興大臣の堪忍袋の緒が切れてしまった。ジャーナリストの追及に賞賛する声がある一方で、否定的な見方をする人も多い。筆者の窪田氏の意見は……。
大臣は脇が甘い
しかも、さらに問題なのは、このような窮地を今村大臣が自ら招いてしまっていることだ。会見録を見ると、明らかに「潮目」が変わったやりとりがある。
(問)帰れない人はどうするんでしょうか。
(答)どうするって、それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう。
(問)自己責任ですか。
(答)えっ。
(問)自己責任だと考え…。
(答)それは基本はそうだと思いますよ。
(問)そうですか。分かりました。国はそういう姿勢なわけですね。責任をとらないと。
「ほら見ろ、誘導尋問じゃないか」という声が聞こえてきそうだが、「本人の責任」という言葉を使い始めたのは大臣である。確かに、ジャーナリスト氏がそれをすぐさま「自己責任」という表現に変換させてはいるが、マスコミがこういう手法で政治家の「失言」を大量生産しているということは、常に辞任リスクの背中あわせの大臣ならば当然注意していなければいけない。にもかかわらず、「それは基本そうだと思いますよ」と居酒屋での議論みたいに受け答えしてしまうというのは、大臣にしてはあまりにも脇が甘いと言わざるを得ない。
事実、今回もマスコミ報道ではしっかりとそのようになっている。
- 自主避難は「本人の責任」 復興相、記者に「うるさい」(朝日新聞デジタル 4月4日)
- "激高"大臣が「自己責任」撤回 自主避難者に謝罪(テレビ朝日 4月7日)
フリージャーナリストの追及に思いっ切り便乗しているわけだが、マスコミというのはそういうものだ。これが嫌ならば、トランプ大統領みたいに会見場から気に食わない記者を追い出すしかない。
マスコミに「自主避難者は自己責任」報道が溢れかえっていることを受けて、「大臣はフリージャーナリストにハメられた、かわいそうだ」とおっしゃっている方も多いが、この気の毒な事態を引き起こしたのは、「本人の責任でしょ」と言い出した今村大臣ご本人に他ならないのだ。
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