営業担当者の「現場力」が優れた会社は成長できる:顧客と信頼関係を築く方法とは(1/2 ページ)
ITmedia ビジネスオンライン主催のセミナーイベント「チーム全体で業績を伸ばすための営業マネジメント術」が東京都内で開催。元積水ハウスで全国トップの支店長だった加藤氏と、ローランド・ベルガー会長の遠藤氏が、組織の営業力を高めるための方法や考え方を紹介した。
3月24日、ITmedia ビジネスオンライン編集部が主催するセミナーイベント「チーム全体で業績を伸ばすための営業マネジメント術」が東京都内で開催された。
オープニングの基調講演では、元積水ハウスのトップ支店長で、現在は住宅コンサルティング会社のCAPで代表取締役を務める加藤正彦氏が登壇。自身の経験を踏まえながら、営業担当者が顧客と信頼関係を築く方法を語った。
顧客と信頼関係を築き、成績を上げるためには
加藤氏が営業マン時代から重視しているのが、顧客に好かれる存在になることだ。同氏は顧客の主な心理として、(1)絶対的存在でありたい(2)歓迎されたい(3)損をしたくない(4)いつまでも関心を持っていて欲しい――の4つを挙げた。そして、こうした顧客心理に応えるために、「心から褒める」「たとえ商談を断られても感謝する」「月に1度は会い、関心を示す」などのコミュニケーション術を活用して信頼を勝ち取り、受注につなげてきたという。
また加藤氏は、顧客とのコミュニケーションにおいては身だしなみや会話のペースに気を配ることが重要であるとし、根拠として、人間が他人に与える印象を決める「メラビアンの法則」を挙げた。この法則によると、人間が他人に与える印象のうち、声・ボリューム・テンポなどの「話し方」が38%を、顔つき、服装、髪型、ボディランゲージなどの「外見」が55%を占め、話の内容は7%にとどまるという。そのため、商談の内容を顧客に覚えてもらうためには、清潔感のある服装や話し方に気を配ることが重要であると説いた。
時間の使い方も、営業成績を上げるためには大切な要素だ。積水ハウス時代の加藤氏の部下のうち、トップ営業は顧客先回りに1日当たり4時間を費やしていた。一方、成績が伸び悩む営業が顧客先回りにかけていた時間は、1日当たり40分程度だった。そこで加藤氏は、全てのメンバーに毎日最低2時間以上を顧客の元で過ごすよう徹底したところ、成績が大幅に向上したという。
加藤氏は、「チームメンバーには、商談の際は必ず次回のアポイントを取ってから仕事を終えるようにするなど、とにかく客先で過ごす時間を増やすよう言い聞かせました。営業の世界では、顧客との接触時間が結果に直結するケースが多く、“量は質に転化する”という知見を得ました」と振り返る。
住宅業界はクレーム産業ともいわれるが、加藤氏は「迅速かつ誠意をもって顧客に対応すればクレームはチャンスに変わる」と考えている。
積水ハウス時代、加藤氏の支店はクレームが届いた際に3分以内に連絡をし、担当者が訪問する時間を伝える対応の徹底を実行したところ、顧客満足度が全国1位となり紹介成約の拡大とシェア1位につながったという。
「社員は電話だけの対応で済ませず、顧客と直接お会いして話を聞くことが大切。"クレーマーはサポーターに変化する”ということを肝に銘じて仕事に取り組むべきです」(加藤氏)
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