メルカリの現金出品問題 監視体制は“人力”:悪質な出品、どう止める?(1/2 ページ)
大きな話題となったフリマアプリ「メルカリ」の現金出品問題。メルカリは現金の出品を禁止したが、新たな手口も出現し、“いたちごっこ”の状態にある。こうした悪質出品は、どうすれば防ぐことができるのか?
「1万円札3枚を3万9000円で」――国内最大手スマホアプリ「メルカリ」で、現金が額面以上の価格で出品・落札されていたことが、4月中旬に大きな話題になった。22日、メルカリは現金の出品を禁止に。同様の事態が発生していた「ヤフオク!」も禁止措置に踏み切った。
メルカリで現金を落札するユーザーは、何を目的としているのだろうか。「メルカリポイントを使いたい」「銀行に行く時間がないが新札が欲しい」なども考えられるが、最も可能性が高いのは「クレジットカードのショッピング枠の現金化」だ。
クレジットカードのショッピング枠はキャッシング枠と違い、そのままでは直接お金を引き出すことはできない。しかしメルカリで現金を購入すれば、額面以上のお金をクレジットカードで支払うことになるが、速やかに現金を手に入れることができる――というわけだ。
もともとメルカリは、マネーロンダリング目的の出品は規約で禁止している。iTunesカードなど換金性の高い金券も、出品しても削除されるようになっている。では、なぜ現金の出品が可能だったのだろうか。
メルカリはサービス当初、現金の出品を禁止していた。しかし、アンティーク、流通量の少ない2000円札、穴がずれている50円玉といった「エラーコイン」、番号がキリ番になっている紙幣など、希少性が高いとされる貨幣や紙幣を額面以上で出品したいという要望がユーザーから上がり、17年2月14日に希少性の高い現金の取り扱いを解禁した。
メルカリ広報の中澤理香氏によると「その後しばらくは、現行の1万円札など希少性がない現金の取引は確認できていませんでした」という。しかし、4月19日ごろからTwitterなどで話題になり始め、メルカリも現金出品の実態を把握。22日にはアンティークの紙幣や貨幣を除く現金の出品を禁止した。
「額面以上の現金出品は、ショッピング枠の現金化の恐れがある取引で、規約違反のマネーロンダリング行為にあたります。出品されていた現金のうち、取引成立に至ったのはそこまで多くはなく、想定外の使われ方でした」(以下、中澤氏)
現在は監視体制を強め、出品されればすぐに削除するように対応しているという。しかし、今週に入ってSuicaなどの交通系マネーカードにチャージした状態での出品も見られるように。メルカリは交通系カードも削除するように対応を決定したが、悪質な出品者との“いたちごっこ”状態は避けられない。
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