メルカリの現金出品問題 監視体制は“人力”:悪質な出品、どう止める?(2/2 ページ)
大きな話題となったフリマアプリ「メルカリ」の現金出品問題。メルカリは現金の出品を禁止したが、新たな手口も出現し、“いたちごっこ”の状態にある。こうした悪質出品は、どうすれば防ぐことができるのか?
メルカリの監視体制は?
「対象となっている商品を一律で禁止にするというよりは、不正利用につながる出品を取り締まりたいと思っています。お客様がトラブルに巻き込まれないよう、マーケットプレースの健全化に努めたいですね」
そう語るメルカリだが、1日の出品数は100万件を超える。膨大な数の出品物の中から、規約違反の出品をいかに見つけ出し、対応しているのだろうか。
意外なことに、最も活用しているのは“人力”。ユーザー対応と監視対応を行うメルカリのカスタマーサポートチームは、東京・仙台・福岡の3拠点で200人を超える。監視は24時間体制だ。
社内で使用している監視用ツールには、「現金」「万円」「スクール水着」といったワードが並ぶ。問題のある出品が発生しやすい特定のワードへの監視を強め、1個1個目視をして確認をした上で、規約違反であれば削除を行っているという。何度も違反出品をしている悪質なユーザーは、利用禁止の措置も行うこともある。
また、ユーザーからの通報の効果も大きい。メルカリでは、商品ページに「不適切な商品の報告」フォームがある。ユーザーからの通報が一定数集まると、自動的に削除が行われる。「友人の写真を撮って出品する」といった一目でいたずらだと分かる商品などは、メルカリの監視チームが確認する前に消えていることも多いのだという。
安心して使えるプラットフォームを
「カスタマーサポートには力を入れています。問題が起きたときには迅速に対応していますし、積極的に安心して使ってもらえるプラットフォームになるように取り組みをしています」
メルカリは15年9月、「あんしん・あんぜん宣言」の方針を発表。匿名で取引ができ、配送時の紛失や破損に対する補償がある「らくらくメルカリ便」や、高額ブランド商品が偽物だった場合に補償する仕組みなどを備えている。
「偽ブランド品が出まわらないよう、社内でノウハウや知見を共有し、取り締まりを強化しています。また、高額ブランド商品などをはじめとして、キャラクター系、ファッション系、化粧品など500超の権利者と連携して取り組みを行っています」
警察、消費者庁、フリマアプリの業界団体とも定期的に情報交換・共有を行っているという。贋作が出回るブランドには実は“流行”があり、各所と連絡を取り合うことで、対策を立てやすくなるのだ。
しかし、メルカリのアプリは日米合わせて6500万ダウンロード、出品は1日100万件を超えている。人力の対策には限界があり、また「現金出品」のように運営側がリスクを把握していなかったものに対しては対応が遅れることが考えられる。テクノロジーやツールを活用し、悪質な出品を止めることはできないのだろうか。
「現在研究を進めているのが、問い合わせの自動対応と画像認識です。問い合わせ対応については一部で自動化もしていますが、画像認識についてはまだ技術的に実用段階ではありません」
メルカリはこれまで、「ユーザーに手軽に出品をしてもらう」ための技術に注力をしてきた。その使いやすさから急速にユーザー数を増やしてきた同社は今、「手軽に出品をさせない技術」が必要とされるステージに来ているのかもしれない。
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