実は怖い、インド便のトイレ:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
航空会社のトラブルが相次いでいる。男性が警察に引きずり出されたり、母親がベビーカーを奪われたり。いずれも米国の航空会社で起きたわけだが、客室乗務員によると「インド便で深刻な問題がある」という。どういうことかというと……。
騒動よりも深刻な問題
そんな話をする中で、S氏はこうした騒動よりも深刻な問題があると言う。最近も、その「しょうがない」では許されない旅客機に関するニュースが報じられているという。
まず2017年3月、340人ほどのインド・デリー発シカゴ行きのエア・インディア航空が出発前にトラブルに見舞われた。離陸前から12個あるトイレのうち4つが詰まってしまった。だが航空会社はその段階から別の機体を手配できずに、離陸。するとそのあとの14時間の飛行中、次々にトイレが故障し、シカゴまであと2時間のところまでくると、12個すべてのトイレが詰まってしまったという。どこか途中の飛行場で着陸するかどうかも検討されたが、結局、ノンストップでシカゴに着いた。
2017年4月22日、ニューヨーク発インド・ムンバイ行きのユナイテッド航空でも同様の問題が発生した。同便は14時間のフライトなのに、エコノミークラスにある4つのトイレのうち2つが故障し、ビジネスクラスでも4つのトイレのうち1つが詰まって使用不可に。トイレはずっと人が待っている状態だったという。
インドがらみの便で一体何が起きているのか。S氏によれば、このニュースは実はインド行きの航空機の担当になった客室乗務員たちにとっては「インド便あるある」なのだという。「申し訳ないが、インド便のトイレ問題は深刻だ」と、S氏は言う。誤解のないようにはっきりと書くが、筆者もS氏もインドやインド人をバカにしたり、差別しているのではない。これはトイレで紙を使う習慣がそもそもなかったインドの文化的な側面なのである。
「インド人の多くは、トイレの紙の使い方が他国の人たちとはまるで違う。とにかく紙をたくさん使うのに、まず流さない。次に人が入っても、その上からまた紙が積み重なり、流さない。流そうとすると、詰まって流れなくなる。またトイレはなんでも捨てていいと思っているのか、オムツやペットボトルなどが捨ててある。水浸しの場合もある。トイレを掃除するのは客室乗務員なので、シンガポール航空ではインド行きの便はかなり不人気だった」。
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