トランプ語は「人類」を救うのか(大げさか):世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
トランプ大統領のTwitter上での発言をみていると、相変わらずである。品格がないだけでなく、事実誤認も多い。そんな彼の発言が、もしかしたら人類にとってプラスになるかもしれない、といった声が出ている。どういうことかというと……。
トランプ語は小・中学生並み
2015〜2016年の大統領選で、時々話題になったのがトランプの使う「シンプルな英語」だ。彼の英語は理解しやすい簡単な英語であり、それがトランプ勝利の一因になったとまで言われている。事実、ワシントンポスト紙によれば、米国民の40%以上が基礎的な英語能力しかないと指摘しており、トランプがその数字を知っていたのかどうかは分からないが、多くの人が理解できる言葉で話したことで大衆の心をつかんだ。
そんなトランプの英語は今では「Trumpese(トランプ語)」などと揶揄(やゆ)されている。ただこれ、反トランプ派がトランプを貶(おとし)めるために言っているのではなく、大学の研究によって証明されているのだ。米国の名門大学であるカーネギーメロン大学が行なった調査によると、トランプの英語は小・中学生並みであるという結果が出ている。
そんなトランプ英語が今、世界で英語を学ぼうとする人たちに重宝されているという。米メディアなどによれば、彼の低レベルな英語が、英語を学び始めたばかりの外国人などに役に立っている。Facebook上では言葉を学習している人たちのグループなどで、トランプ語の有益性が議論され、にわかに盛り上がっているのだ。
トランプ語の何が有益なのか。米Wired誌によれば、特にトランプの使用する単語は簡単なものが多く、言葉を繰り返し述べる傾向があり、議論もシンプルなのだという。しかも彼の話す英語はスピードが比較的遅い。そのために、英語の聞き取りに慣れていない人にとっては、使い勝手のいい“教材”になっているというのだ。
英語に限らず、言語を学ぶ際、単語が聞き取れない状態ではやる気すら出ないだろう。単語や文章などが耳に入ってくるようになると、学ぶことも楽しくなるし、学習を続けようという気になるものだ。そこで毒ばかりだと見られていたトランプ語に価値がある、とみられているのだ。
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