トランプ語は「人類」を救うのか(大げさか):世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
トランプ大統領のTwitter上での発言をみていると、相変わらずである。品格がないだけでなく、事実誤認も多い。そんな彼の発言が、もしかしたら人類にとってプラスになるかもしれない、といった声が出ている。どういうことかというと……。
トランプ語は学術的に低レベル
となると、トランプのツイートを1冊の本にまとめて、英語のテキストに……と考える人もいるはず。しかし、Wired誌によれば、そこそこ英語を使える人がトランプ語から学べることは少ないという。というのも、カナダのトロント大学の言語学者いわく、中級以上の言語学習者はボキャブラリーの数を増やす必要がある。語彙(い)力を鍛えるには、彼の英語は不十分だということだ。
ちなみにトランプ語を他の言語に訳す世界中の翻訳家たちは、彼の発言に出てくる紛らわしい理屈やころころ変わる話、さらには事実誤認に苦労させられている。また下品な単語を使うこともあるので、発言を選り好みできないニュース翻訳家たちは頭を痛めているという。トランプ語にはそういう側面もある。
とにかく、トランプの英語が、学術的に低レベルと証明され、それゆえに英語を学び始めた人たちに重宝されているというのは分かった。ではそれがどう人類にプラスになるのか。
人類というと大げさに聞こえるが、第2言語として英語を学ぶことで私たちの脳の機能と健康が向上するというのだ。実は最近、新しい言語を学ぶことが人の健康に有効であるという研究が世界的に話題になっている。
どんな効果が見込まれるのか。母国語以外の別の言葉を話すバイリンガルの人は、例えば、アルツハイマー病の発症が5年ほど遅くなると言われている。さらには、脳卒中などによって起きた認知機能も、バイリンガルの人のほうが回復する確率は2倍であるとの研究結果も出ている。
また第2言語を習得することは、一般的な脳機能を向上させる。米国立衛生研究所は、マルチタスクの能力が高まるとの研究結果を発表しているし、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究では知覚の感度も高くなるという。また英エジンバラ大学の研究でも、第2言語が認識力を高めるとし、脳の機敏性が高まるそうだ。
つまり、健康のために外国語を学ぶべきで、特に学べる機会が多く、世界中で使えるという実益も考えると英語を学ぶのが手っ取り早い。そして英語を学ぶには、トランプ語から入るのがとっつきやすく、勉強になるという。この流れを見れば、トランプ英語が人類に役立つ可能性があるということだ。
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