8Kサッカー観戦、一瞬で終わるダウンロード KDDIの5G:動くクルマの中でも通信可能(2/2 ページ)
KDDIが、第5世代移動体通信技術(5G)の実証実験の内容を報道陣向けに公開。実証に成功している「自由視点映像」「VR(仮想現実)」「瞬間ダウンロード」の3機能のデモを披露した。
タイムラグなくVRコンテンツを再生
5Gを活用したVRでは、車内でヘッドマウントディスプレイを装着すると、車の動きに応じて瞬時に映像が変化する。
車載のGPS受信アンテナが位置情報をリアルタイムで取得。5Gを活用してKDDIビル内のVR映像生成サーバに位置情報を送信すると、サーバ側が現在地を反映した映像を作成して送り返す仕組みだ。
デモでは、月面探査の様子をリアルタイムに体験できるVRコンテンツを公開。バスの動きに合わせてタイムラグなく映像が追随し、バスがカーブすると映像内の探査機が巨大なクレーターをよけながら曲がるなど、月面の様子を楽しめる仕様になっていた。
技術開発を担うKDDIの松永彰シニアディレクターは、「現在のVRの技術では、実際の視線の動きと映像の動きにタイムラグがあり、ユーザーに車酔いに似た“VR酔い”を引き起こす危険性がある」という。「今回の取り組みでは、5Gの低遅延性を生かして瞬時に映像を生成するため、違和感はほとんどない」と自信を見せる。
LTEの100倍のスピードで高速ダウンロード
瞬間ダウンロードは、文字通り大量のデータを一瞬で読み込むものだ。デモでは、9種類・計500MBの動画ファイルを使用。バスが5Gエリア外を走行している際はダウンロードに約2分を要していたが、エリア内に入り、5Gに切り替わると、約1秒で全種類のダウンロードを完了。読み込み速度はLTEの約100倍に上るという。
KDDIの今後の動向は?
KDDIは今後、パートナー企業と連携して実証実験を進めていく。
建設業の大林組とは、ショベルカーの外部にカメラを搭載し、5Gを活用して映像を遠隔地のオペレーターと共有した上で、現場に指示を送る実験を実施する予定。警備サービス業のSECOMとは、警備員が着用したウェアラブルカメラの映像を5Gを活用して集約・分析することで、防犯対策を強化する実験を行っていくという。
松永シニアディレクターは、「5Gは、4Gよりも使用できる周波数の幅が広い。そのため、5G内でも、どの周波数の電波を組み合わせれば効率良いビジネスが展開できるかが未知数だ」と課題を挙げ、「パートナー企業と多様な環境下で実験を行い、5Gをより発展させていきたい」と展望を話している。
関連記事
- 携帯大手、「5G」開発に注力 提携・実験を相次ぎ発表
キャリア各社が5G技術の開発を加速させ、関連企業との提携や実証実験を相次いで実施している。各社の動向をまとめた。 - KDDI、16年度は増収増益 「UQ mobile」が好調
KDDIの2017年3月期の連結決算は増収増益だった。サブブランドMVNO「UQ mobile」の契約者増や、ジュピターショップチャンネルの連結子会社化などが影響した。 - ドコモ、新中期計画発表 「5G」生かして事業を変革
NTTドコモが、2017〜20年度の中期計画「beyond宣言」を発表。新たな通信技術「5G」を活用したサービス開発を進めるという。 - トヨタなど、“つながるタクシー”実用化に向け実証実験
トヨタ自動車、KDDI、東京ハイヤー・タクシー協会が、都内の500台のタクシーから走行データを取得する実証実験を始める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.