加速するクラウド化 影響を受ける仕事は?:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
近年、企業のITシステムが次々にクラウドにシフトしている。三菱UFJフィナンシャル・グループも、Amazon Web Servicesへの移管に向けて動き始めた。今後、日本においても本格的にクラウドシフトが進んだ場合、社会・企業にはどのようなインパクトがもたらされるのだろうか。
SI企業はアマゾンなどの下請けに?
では今後、日本においても本格的にクラウドシフトが進んだ場合、社会にはどのようなインパクトがもたらされるのだろうか。真っ先に影響を受けるのはシステムインテグレーター(SI)などのITサービス産業であることは間違いない。
これまで自社で保有していたITシステムをクラウドに移管するということになると、ITシステムの構築や運用もクラウド企業が請け負ってしまった方が話が早い。こうした動きは、企業から依頼を受けて情報システムの構築を行ってきた、SIの業務を直撃することになる。
もっともアマゾンやマイクロソフトといったクラウド事業者は、クラウド運用に特化する可能性が高く、システムの構築までは手掛けない可能性が高い。ただ、既存のSI企業が、クラウドへのシフト後も引き続き情報システムの構築を受注するためには、クラウド事業者のパートナーとして業務を遂行する必要に迫られるだろう。これは一種の下請化であり、最終的には収益の低下につながってくる可能性がある。
サーバを製造するハードメーカーへの影響も大きい。クラウド市場の拡大はサーバ市場にとっては追い風だが、問題はクラウドを運営する企業の多くは米国企業という点である。これまで日本企業が利用するサーバは日本で調達されていたが、クラウドはネット上の空間なので、サーバを設置する場所はどこでもよい。
現実にクラウド上のサーバは米国で調達される可能性が高く、日本のサーバ市場の一部は米国に取って代わられてしまう。サーバを製造するハードメーカーは売上高減少という事態に直面するかもしれない。
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