早稲田ラグビー元監督が明かす、失敗リーダーの典型とは?:中竹竜二氏×サイバー役員・曽山哲人氏対談(5/6 ページ)
早稲田大学ラグビー部の監督を務めた4年間で2度の大学選手権優勝を果たした中竹竜二氏。チームを率いるリーダーとして彼はどのようなことに取り組んできたのだろうか。またそこから見えてくる、失敗するリーダー、駄目な組織とは何か。サイバーエージェントの人事を統括する曽山哲人取締役と語り合った。
中竹: 具体化でしょうね。
曽山: なるほど。当社グループにも社長はたくさんいて、彼らは結果を出し続けているメンバーなので、目標設定はうまいなと思います。設定が上手な人とうまくない人の違いは分かるのですが、その間に何があるのか分かりませんでした。具体化するということが大事なんですね。
中竹: それと、目標設定のときに多くの人は最悪の事態を考えないことも問題だと思っています。
曽山: 楽観的なんですね。
中竹: ポジティブシンキングって流行ったじゃないですか。僕はすごく嫌いで、駄目だと思っています。
ネガティブなことを考えると、現実に起こりそうだから考えないという人がいますが、準備段階は常に最悪のことを考えた方がいいです。どんなに最悪なことが起きても成果を上げるという目標設定をするべきです。
僕の場合、こんなに嫌なことが起きたら大変だという要素を挙げたら5個あったので、50対0と設定したのです。どんなにいいチームを作ったとしても、30対0で準備していたら、その日だけすごい大雨だったとか、選手が風邪ひいてしまったとかで負けてしまうのです。1年間の努力が台なしになります。それを考えたら、恐くても最悪のことを考えて、それを上回る具体的な目標設定をすることが大事でしょう。
曽山: 僕らの会社にもよく使われる言葉に「ネガティブに考え、ポジティブに生む」というのがあります。頭の中はとにかくネガティブに考えて、最後に出すときは皆が分かるように、受け入れやすいように伝えようとします。そこはネガティブシンキングでないと駄目なんですよね。本当にそう思います。
中竹: 僕は目標達成力というのはないと思っていて、目標設定力が重要だと思っています。
曽山: 確かに目標設定力というのはありますね。
中竹: 目標設定について、今リーダーに対して僕が伝えている5つの条件というのは、具体的であること、チャレンジングであること、ワクワクすること、それと明確な期限があって、いつまでにそれを達成するのか。最後は、誰の目標であり、誰が行動を起こすのか、主語を明確にすることです。日本人はわりと主語が抜ける文化があります。世の中の目標を掲げても、それって本当に誰かがやりたいのかと疑問に思います。ですから、僕らがリーダーをトレーニングするときには、毎回この目標設定のやり方を提示しています。それが1日の目標でも年間の目標でも、個人でも組織でも同じです。
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