共謀罪で露出が増えるスノーデンは英雄なのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/6 ページ)
NSAの機密情報を暴露したエドワード・スノーデンの名前をよく目にする。かつて日本で暮らし、日本文化が大好きだという彼は、海外でどんな評判なのか。また彼が語っている話は、どこまで信ぴょう性があるのか。
米情報機関の活動を暴露した理由
まずここで明確にしておくが、筆者は、NSAの世界的な監視プログラム、秘密裏また不誠実に行なっているサイバー作戦、さらには米政府のサイバー戦略などをスノーデンが告発したことには意味があると感じている。また国際情勢を取材・研究する者としても、彼が暴露したものは非常に価値のある資料だと認めざるを得ない。欧米では当時「英雄」と呼んだ人もいるし、人生をかけての行動だったこともよく分かる。
だが一方で、スノーデンの行為が犯罪であり、米政府へのダメージが計り知れないことも理解している。この件ではこれまで何人もの米政府関係者に取材をしてきたが、莫大な予算と時間を使って国家の安全保障のために作り上げた優れた技術を公表されたことへの憤りも多く聞かれた。
スノーデンの暴露のインパクトは、例えば日本に当てはめると、警察庁が多額の税金を投入して開発した様々な捜査技術やテクノロジーを、出入りしていた人に盗まれ、その告発者が中国または北朝鮮のような国に逃げて、そこから世界に向けて情報を次々と暴露する、といったイメージではないだろうか。逃げた先の国にも秘密情報を与えたかもしれないし、その後に亡命する国にもそれらの情報をお土産にするかもしれない――。そう置き換えれば、日本人にもこの事件のダメージの大きさは実感できるだろう。
スノーデンを支持するサイト「edwardsnowden.com」は、1983年生まれの33歳であるスノーデンのプロフィールをこうまとめている。「2013年5月にハワイの自宅を出て、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルドに文書を暴露するために香港に渡った。米国から出る時点まで、スノーデンは米コンサル会社ブーズ・アレン・ハミルトンのシステム分析官として、NSAで請負仕事をしていた。彼が暴露した情報は、国内外の個人のコミュニケーションを収集して保管し続けてきたNSAの能力や詳細な極秘プログラムを明らかにした」
スノーデンは、米情報機関が行なっていた活動を暴露した理由について、2013年6月に自ら、「私は、毎日オフィスにいて日々何が行われているのかを見ていた、どこにでもいるヤツだった。だが『これらのプログラムや政策を実施して良いか悪いかは、私たちがここで決定していいことではない。国民が決めなければいけないものだ』と考えたのだ」と説明している。
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