共謀罪で露出が増えるスノーデンは英雄なのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/6 ページ)
NSAの機密情報を暴露したエドワード・スノーデンの名前をよく目にする。かつて日本で暮らし、日本文化が大好きだという彼は、海外でどんな評判なのか。また彼が語っている話は、どこまで信ぴょう性があるのか。
政府の極秘プログラムに目を通さず暴露したのか
現在ロシアに暮らすスノーデンだが、そもそも情報を暴露した後の2013年8月に1年間の暫定的な亡命がロシアで認められ、2014年8月にはそれが3年間延長された。2017年にはその延長期限も切れそうだったが、2017年初めに「数年間」延長になっている。まだしばらくはロシアに滞在することができる。
この「edwardsnowden.com」のサイトには「よくある質問」というページが設置されているのだが、そこには一部ジャーナリストらが暴露当初から指摘してきた質問と、それに対する答えが記されている。質問は「なぜスノーデンは、(NSAから盗み出した)すべての書類を一度に暴露しなかったのか」というものだ。
スノーデンはもともと機密情報を含む20万ファイルを盗んだとされていたが、米下院情報特別委員会が2016年に公表した報告書によれば、その数は150万ファイルに上るという。いずれにしても莫大な機密文書が持ち出され、ジャーナリストのグリーンウォルドとその仲間に手渡されたわけだが、そもそもスノーデンは自分が盗んだ文書のすべてに目を通しておらず、盗み出した情報をすべて把握しないままジャーナリストに提供していたと指摘されていた。
このサイトによれば、その答えはこうだ。「あちこちでグリーンウォルドが言っている通り、エドワード・スノーデンは文書を公表する前に、ジャーナリストらが公表すべきとする文書を事前に調査・分析できるよう文書を手渡した」という。
ただ内部告発者が、政府の極秘プログラムのすべてに目を通していないまま暴露したことが事実だとすればそれは驚きであり、問題である。実は米テレビ局「HBO」で人気番組をもつコメディアンのジョン・オリバーが、2015年にスノーデンとのインタビューでこの点について突っ込んでいる。
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