あなたが電車内で失った“忘れ物”の運命:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)
梅雨入りを控えて、ということだろうか。阪急電鉄と相模鉄道が、乗客の忘れ物に関するプレスリリースを出した。阪急電鉄は傘の保管期間を短縮するという告知、相模鉄道は2016年度の忘れ物件数が過去最多になったという報告だった。持ち主は忘れていても、忘れ物を預かる側はいろいろ手間がかかる。
処分された忘れ物たちは……
持ち主が現れず、拾い主からも権利放棄された忘れ物たちはどうなるか。警察署の保管期限が切れると、廃棄または払い下げとなる。デパートの催事場などで開催される「鉄道忘れ物市」の商品になる。また、大阪市天王寺区には常設店舗「鉄道わすれもの店 兼商」があり、鉄道忘れ物の話題には欠かせない店舗だ。
忘れ物販売イベントの日程を知る方法は専門業者やデパートが発信している。筆者が見聞きするところでは、神奈川県の百貨店「さいか屋」が開催している。また、埼玉県吉川市のリサイクルショップ「よろづや」は、イベントホールで「鉄道 忘れ物市」を開催しており、Twitterで開催日と会場を告知している。
鉄道忘れ物市ではどんなモノが売られているだろう。よろづやのチラシを見ると、雨傘は10円から。衣料品、ハンカチなどは100円から。大手メーカー製イヤフォンは300円から。こうしたものを電車内に忘れがちな人は、いっそはじめから忘れ物を買った方がいいかもしれない。腕時計やサングラスなどのブランドものは市場価格の3分の1程度の値付けだ。アクセサリー、貴金属類もある。本は50円均一、トレーディングカードは10円。お宝が眠っていそうな気配……。
新品と表示されているものは、おそらく買ったばかりで箱のまま、網棚にでも乗っていたのだろう。引き取りに来ないとは、取り戻す方法を知らないか、新たに買い直してしまったか。景気の良い人もいらっしゃるようだ。
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