【詳報】富士フイルム、不適切会計の裏に何があったのか:富士ゼロックスを特別扱い(4/4 ページ)
富士フイルムホールディングス(HD)が、当初の予定よりも1カ月以上遅い6月12日に決算内容を開示した。その理由は、子会社の富士ゼロックスで海外子会社を巡る不適切会計が明らかになったためだ。事態の発覚が遅れた背景には、富士フイルムHDの富士ゼロックスに対する“特別扱い”があったという。
主な質疑応答
会見での主な質疑応答は以下の通り。
――指摘:監査法人が調査を始めたのは16年11月だが、不正の報告を受けたのは3月末。なぜこれほど期間が空いたのか。
助野社長: ニュージーランドで何が起きていたのかを明確に知る必要があった。相当数の人間を派遣し、数万にわたる契約を精査させたため、非常に時間がかかった。
――FXNZは、年間売上高が200億円程度の会社。監査法人の中でのプライオリティーが低く、きちんとした監査が得られなかった可能性があるのではないか。
助野社長: 確かに、監査のレベルは売上高に応じて決めている部分がある。日本の富士フイルムHDや富士ゼロックスに対する監査とは、一定の差があるかもしれない。
――他の海外関連子会社でも不正が起きている可能性はないのか。
助野社長: 第三者委員会が他の地域についても徹底的に調査を行ったが、不正はみられなかった。不正はウィタカー氏の個人的な判断によるものだと考えている。ウィタカー氏に対しては、損害賠償も検討している。
――10年度以前の決算内容についても、今後調べる予定はあるのか。
助野社長: 既に全ての契約を調べたため、残っているものはない。再調査の予定はない。
――FXNZやFXAUでは、高い売り上げ目標が設定され、達成に対する厳しいプレッシャーがあったと指摘されている。マネジメントは適切だったのか。
助野社長: 事業会社である以上、期首に建てた計画の達成を目指してもらうのは当然のこと。富士フイルムHDから2社に対して、売り上げを伸ばせというような過度なプレッシャーを与えたことはない。売り上げ目標は、長い時間をかけて策定しており、適切なものであったと認識している。
――富士ゼロックスは今年3月、不適切会計による損失額が30億円との説明をしている。軽微なようにごまかす意思があったように見受けられるが、実際はどうか。
助野社長: 誤った申告を受けていた。こちらの認識が足らなかった。
――富士ゼロックスは、役員が交代したにもかかわらず、栗原博社長は留任している。それはなぜか。
助野社長: 富士ゼロックスのコピー事業を失速させないためだ。ゼロックスは、国内のコピー機の3割弱、コピー量の半数以上のシェアを占めている。この主力事業を伸ばすためにも、国内の営業を長年やってきた栗原を残すという結論に至った。
――退任した役員は、単なる辞職なのか、それとも更迭という形なのか。
助野社長: 責任をとっていただいた。
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