デジタル変革に求められるアナログ力とは?:有識者に聞く(4/4 ページ)
「デジタルトランスフォーメーション」(DX)に成功している企業には、どのような特徴があるのだろうか。また、これからの時代でビジネスパーソンが活躍するためには、どのようなスキルが求められるのだろうか――。ガートナージャパンの有識者を取材した。
「アナログ」な力を持つ人材こそが活躍する
――デジタル・ビジネスを推進する上で、企業にはどのような人材が求められるのでしょうか。
鈴木: 当社では、これからの時代に必要な人材は、「既存ビジネスのままでは生き残れない」という危機感を持ちつつ、革新的なアイデアを創出できる“イノベーター”だと考えています。イノベーターには、アイデアを生み出すスキルだけでなく、経営層をはじめとする他人の前で何かを説明して、納得させるプレゼンテーションスキルも求められます。
――なぜ、プレゼンテーションスキルも必要なのでしょうか。
鈴木: 私と本好が昨年8月に実施した調査で、日本企業に「デジタル・ビジネスを促進させる要因」を聞いたところ、「経営層のリーダーシップ」との答えが7割以上を占めました。トップの関与が無いとビジネスの変革を進められない企業が多いことが分かったのです。
こうした風潮の中で、本当に既存ビジネスに危機感を感じている人は、デジタル・ビジネスの重要性をトップに理解させる必要があります。また、日本企業では、新しいビジネスを始めようとすると、必ず抵抗勢力が出現し、「成功するわけがない」などと主張する傾向にあります。
そこで負けずに戦えて、異なる主張を持つ人を説得できる人材こそが日本のビジネスを変えていくと考えているからです。
本好: 後天的に身に付けるのは難しいかもしれませんが、優秀な人を集める力も今後のビジネスパーソンに必要なスキルです。私がビジネスの現場で見てきた限りでは、「どうしても、このテクノロジーを生かした仕事がしたい」という確固たる意志を持ち、抵抗勢力と戦いながらも日々やりたいことに没頭しているイノベーターには、自然と仲間が集まってくるケースが多いです。
こうして挙げていくと、デジタル・ビジネスの推進に必要な人材のスキルって、アナログですよね。説明・説得する力や、人を集める力――。全くデジタルではない。ただ、こうしたアナログ的な力が強い人こそが、デジタル・ビジネスを推進する存在であると確信しています。
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