「新小岩」と「清澄白河」の街に、西側住民が嫉妬する日:東京の東側を比較(4/4 ページ)
東京の姿が、大きく転換しようとしている。都心回帰現象と連動して、東側が注目されているのだ。とはいっても、もちろん、新宿や渋谷、中目黒といった存在にまで成長していないが、この勢いが続けば、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
“文明開化”を果たした清澄白河は目指される存在に
そんな清澄白河が、ここ十数年の間で急速に伸びを見せている。清澄白河が、発展する最初のきっかけになったのは、2000年に都営大江戸線の駅が開設されたことだろう。
それまで清澄白河の駅周辺部は、小さな町工場がひしめく準工業地といった趣だった。大江戸線の駅が開業したことで、清澄白河から再開発で急速発展を遂げた汐留駅、六本木駅などと一本で移動できるようになった。大江戸線に加え、2003年に水天宮前駅止まりだった東京メトロ半蔵門線が押上駅まで延伸開業。大江戸線と半蔵門線の交点となる清澄白河駅にも半蔵門線の駅が設置されることになり、交通アクセスはさらに向上。これが、清澄白河の発展に拍車をかけた。
大江戸線、半蔵門線という、2つの黒船襲来によって“文明開化”を果たした清澄白河は、それまで江戸情緒を残していることがウリでもあった。
そうした江戸情緒のある清澄白河駅周辺だが、歳月を経るごとに高層マンションがひしめくようになり、新住民が増えつつある。
さらに、清澄白河の“文明開化”を後押ししたのが、サードウェーブコーヒーの代名詞的存在だった「ブルーボトルコーヒー」が日本初となる店舗をオープンさせたことだった。ブルーボトルコーヒーが清澄白河に出店したことで、清澄白河は“コーヒー激戦地”“コーヒータウン”としてメディアから取り上げられる回数が急増。これまで“東側諸国”の動向に見向きもしなかった“西側諸国”も対抗意識を燃やすようになっている。
特に、渋谷のお膝元でもある池尻大橋は「清澄白河につづけ!」とばかりに“西側諸国”のコーヒータウンを自認する存在として名乗りを挙げているが、話題性は清澄白河には及ばない。
“東側諸国”と“西側諸国”のパワーバランスは、ここ数年で変化が生じつつある。それは新小岩と清澄白河だけの力によるものではないが、両駅はそうした地殻変動をけん引する存在になりつつある。
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