“時代遅れ”のデータ活用では生き残れない:顧客接点をデザインせよ(2/4 ページ)
テクノロジーの進展によって、あらゆる情報を収集・分析できるようになってきた。こうした中で、企業が競争に勝ち続けるためには「顧客接点をデザインする力」が求められている。
データ活用の環境は整った
――多くの企業がデータをより有効に活用できるようになったのは、なぜでしょうか。
高部: 当たり前の話ではありますが、技術革新が大きな要因として挙げられます。例えば、AIを使ったデータ分析で需要予測をする研究は20年以上前から行われてきましたが、AIを実用的に使うためセンシング技術やデータ処理能力は不十分で、データの蓄積も足りていませんでした。
技術革新によってこうした課題が解決されるようになり、またIoT化によって得られるデータも増えてきたので、AIの実用化が進んできているということです。
企業間におけるデータの連携が増えてきていることも要因の1つです。例えば、通販事業者も物流事業者と連携して、商品を乗せたトラックが今どこを走っているか、ユーザーに情報提供していますよね。1社でデータを独占するのではなく、周辺の業種・業態とデータ連携をすることで、競争力、付加価値を高めていく。こうしたトレンドもあって、データをより有効活用できる環境が整ってきています。
――DXの取り組みが進んでいる業界について教えてください。
高部: データのやりとりがビジネスの中心となっている業界は危機感を持って取り組んでいます。例えば、金融業界のように物理的に売るモノがない、または、“おもてなし”のような対面によるサービスの手厚さが付加価値につながりにくい分野の方が、新興企業にとって参入障壁が低い。そのため、既存のプレーヤーが危機感を強く持っています。
実際、金融業界ではビットコインをはじめとする仮想通貨を活用したサービスなど、いわゆるFintech企業の台頭が既存の銀行ビジネスを脅かす存在になる可能性を持っています。こうした既存の仕組みを変えてしまう新興勢力にユーザーを奪われないよう、大手銀行もFintechを活用した新しいサービスの開発し、先手を打とうとしています。
また、日本では「紙の文化」が根強く、欧米と比べて人による作業が多いという課題があります。しかし今後、グローバルで競争に勝ち残っていくためにもコストカット、生産性の向上は重要なので、各社危機感を持ってデジタル化に取り組んでいます。実際、口座開設や、ローン、融資などの各種審査業務をAIに任せていくる取り組みは、既に一部の銀行で試行されています。
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