「ザ★チャーハン」が男性の胃袋をつかんだ理由:がつがつと食べられる(3/4 ページ)
味の素冷凍食品の「ザ★チャーハン」が、冷凍チャーハン市場拡大に貢献している。中華料理店のチャーハンのような味や香り、独自性のあるパッケージはどうやって生まれたのか。担当した、マーケティング本部の田中宏樹さんに聞いた。
イメージを変えるパッケージ
ザ★チャーハンを店頭で手に取るときに気になるのが、パッケージの大きさとデザインだ。他の冷凍チャーハンとは“見た目”の部分でも一味違う。それは、従来の冷凍チャーハンのイメージにとらわれない、利便性や独自性の追求から生まれた。
まず、600グラムという内容量だ。冷凍チャーハン1袋の量は450グラムが主流。そこから150グラムも増やすと、他の商品と比べて単価も上がってしまう。それでも量を変えた理由は、450グラムが最も適正な量ではないと考えたからだ。「1人で食べるには多い。でも、2人だと少ない。中途半端だった」(田中さん)。飲食店のチャーハンを食べ歩いたときには、スケールを持ち込み、量も調べた。その結果、どの店もだいたい1皿300グラム前後。1袋の量は、2食分の600グラムに定めた。
そして、存在感のあるパッケージだ。正方形、背景は黒色、金色の文字。売り場で目を留めてもらうため、独自性を重視した。冷凍食品は横長のパッケージが多いが、「横長のパッケージが特に便利だというわけではない」(田中さん)。丸く盛ったチャーハンの写真を中央に大きく位置付けることができて、どのように陳列されても表面が見えやすい正方形を選んだ。
また、赤や黄色、白など明るい色が主流の冷凍食品売り場で、黒と金のパッケージは異彩を放つ。「パッケージ案は20種類ほどあったが、男性に『これいいね』と言ってもらえるようなイメージを意識した」(田中さん)という。
思わず目を留めて読んでしまう「焦がしにんにくのマー油と葱油が香る、ザ★チャーハン600g」という文章のようなフレーズも目立つ。他の商品パッケージにも、商品名と併せて特徴を記載しているが、文字が小さいためなかなか目に入らない。今回は、「香り」というキーワードだけでなく、マー油、ネギ油といった材料まで商品名と同じ大きさの文字で目立たせた。「パッケージに目を留めて読んでもらえれば、特徴を一目で理解してもらえる」(田中さん)という狙いだ。
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