マヨネーズで食卓を彩る キユーピー研究者の工夫:新しい価値を提案(1/2 ページ)
ロングセラー商品「キユーピーマヨネーズ」。研究開発を担当する若見俊介さんは、マヨネーズの新商品や新しい使い方の開発に取り組んでいる。マヨネーズにかける思いや研究開発の工夫を聞いた。
多くの家庭の冷蔵庫に入っている調味料、マヨネーズ。キユーピーがその製造を始めてから、今年で92年になる。同社の商品開発研究所で家庭用マヨネーズの研究開発チームリーダーを務める若見俊介さんは、マヨネーズの新商品や新しい使い方の開発に取り組んでいる。昔から親しまれているマヨネーズの新しい価値を創り出し、次の時代に伝える役割を背負う。
マヨネーズを磨き続ける
東京都調布市にあるキユーピーの研究開発拠点「仙川キユーポート」。道行く人の目を引く六角形の建物には、オフィスのほかに研究室やキッチンスペースなどを備え、約1400人が働く。ここから、マヨネーズの新しい商品や使い方の提案が生まれている。
「キユーピーマヨネーズ」のブランドには、機能や好みに応じて選べる商品群がある。カロリーをカットした「キユーピーハーフ」や「キユーピーライト」、コレステロールをゼロにした「キユーピーゼロノンコレステロール」、コレステロールを下げる特定保健用食品「キユーピーディフェ」など。2016年は、血圧が高めの人向けの機能性表示食品「キユーピーアマニ油マヨネーズ」を発売した。
若見さんは02年に入社し、6年間マヨネーズの研究開発を担当。その後、営業も経験した。研究所に戻ってからは、パスタソースの研究開発リーダーなどを経て、15年10月から家庭用マヨネーズの開発チームを率いている。
マヨネーズとともにキャリアを積んできた若見さんにとって、マヨネーズとは「宝物」。しかし、「箱にしまうのではなく、磨きながら次の世代に引き継いでいくもの」だ。時代の変化を読み、工夫しながら、絶えず新しい価値を提供していくことが必要だと考えている。
研究開発だけでなく、営業を経験したことも大きな糧となっている。視野を広げようと、自ら希望を出して異動した。マヨネーズやドレッシングなどを店に置いてもらうため、量販店などのバイヤーと商談したが、最初は会社の営業方針をそのまま伝えるだけの営業しかできなかった。当然、要望は通らない。店にはそれぞれ違った課題があり、それに対応した提案が必要だったのだ。相手とコミュニケーションを取り、実際の売り場をよく観察することで、ニーズをつかむことを学んだ。「棚に何があって、どう売れるか、イメージする力が身に付いた。それは今でも役立っている」という。
視野を狭めないようにする意識は、今でも根付いている。実際に食べる場面を常に意識して研究できるように、休日に家でレシピや商品を試し、感じ方を探っている。たくさんの実験を重ねる過程で一口ずつ試食することと、1回の食事として食べきることでは、感じ方が全く異なるからだ。
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