「営業」の仕事はAIでどう変わるのか:営業部 AI課(2/5 ページ)
AIの普及によって営業の仕事が大きく変わろうとしている。10年後の社会においてセールスパーソンに求められる能力や評価基準は今とはまったく違ったものになっているはずだ。AI時代に営業のプロとして生き残っていくために必要なスキルとは……。
AI導入の第一段階は全員にメリットがある
営業現場へのAIの普及は、おそらく2つの段階を経て進むことになると考えられる。まず第1段階では、AIが営業チームの動きを学習し、営業チームの底上げを行う。
AI技術の本質は深層学習(ディープラーニング)。例えば囲碁や将棋でプロを負かすAIは、誰かに勝ち方を教えられたわけではない。数多くの対局を見てAIが学習し、自ら勝つ方法を編み出している。これは営業の分野でも同じ結果になる可能性が高い。
営業支援システムの中にAIが入った場合、AIは社内のセールスパーソンたちの活動をつぶさに学習するだろう。どのような頻度で顧客を訪問しているのか、どのような文面のメールを送っているのかといったところまで学習するようになるはずだ。
学習を通じてAIは、セールスパーソンがどう行動すれば高い成績を上げられるのか体系化していき、それぞれのセールスパーソンにアドバイスするようになる。
例えば、成績の振るわないセールスパーソンに対しては「この顧客は成約確率が低い。にも関わらず訪問回数が多すぎます。訪問頻度を減らし、その分、新規開拓を行った方がよいでしょう」「このメールの文面は不適切なので、書き直しが必要です」などのアドバイスが与えられることになる。
一般論として、成績のよいセールスパーソンは放っておいてもよい成績を上げるのであまり手間をかける必要はない。平均レベルのセールスパーソンの成績をどう向上させるのかでチームの営業成績は決まってくる。AIはこの部分を底上げできるので、企業としてはコストをかけても積極的に導入するメリットが存在するわけだ。
AIが導入された営業チームは、できるセールスパーソンの行動をAIが学習・分析することによって、セールスパーソンごとの能力差が縮小していく可能性が高い。
関連記事
- AIが普及しても営業職はなくならない?
近い将来、社会にAI(人工知能)が普及し、多くの仕事が機械に取って代わられるというのは、一定の共通認識となりつつある。だが具体的にどの仕事がAIに代替されやすいのかという部分については、人によって考え方が異なっているようだ。 - 営業に向いているのは人間ではなくロボット?
「Pepper for Biz」(法人向けモデル)の発売から約1年が経過した。販売台数は5000を超え、さまざまな場所でPepperを見かけるようになったが、導入企業にはどのような効果が出ているのだろうか。ソフトバンクロボティクスの事業推進本部、吉田健一本部長に話を聞いた。 - AIが働かないと私たちは貧しくなる
人口減少による著しい人手不足が今後も加速していく可能性が高い日本。このままでは、あらゆる業界で過労問題が発生するだろう。「AIが仕事を奪う」という心配をしている場合ではない。AIに働いてもらわなければ経済(社会)が回らなくなるという事態になりかねないのだ。 - AIビジネスの“カンブリア爆発”が始まる
2015〜2016年にかけて、AI(人工知能)は人間を超える「目」と人間並みの「耳」を持った――。目を持ったことでカンブリア紀に生物が爆発的に増えたように、AI搭載の製品やサービスもこれから爆発的に増えると考えられる。2017年以降、そのAIビジネスをけん引する企業とは……。 - 「変なホテル」2号棟、舞浜にオープン 7人で100室運営
「変なホテル」の2号施設「変なホテル舞浜 東京ベイ」が3月15日、千葉県浦安市富士見にオープン。140体のロボットと7人のスタッフで100室を運営する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.