AIが普及しても営業職はなくならない?:“いま”が分かるビジネス塾(1/4 ページ)
近い将来、社会にAI(人工知能)が普及し、多くの仕事が機械に取って代わられるというのは、一定の共通認識となりつつある。だが具体的にどの仕事がAIに代替されやすいのかという部分については、人によって考え方が異なっているようだ。
人材会社のエン・ジャパンは2016年、同社が運営する転職サイト「ミドルの転職」の利用者に対してAIに関する興味深いアンケート調査を実施している。調査は35歳以上の一般的なビジネスパーソンと、人材のプロである転職コンサルタントの両方に対して行われた。
一般的なビジネスパーソンに対する調査では、AIによって代替されにくい職業として1位になったのは営業、2位は経営企画、3位はクリエイティブ系だった。一方、転職コンサルタントに対する調査では、1位は経営者、2位は経営企画、3位は営業となっている。1位の経営者と2位の経営企画は相互に関連する仕事なので、これらは経営系としてひとまとめにしてもよいだろう。
そうなってくると、両方のカテゴリーの調査結果はかなり似通ってくる。一般的なビジネスパーソンの場合には、自身の願望が結果に影響する可能性もあるが、転職コンサルタントは人材に関するプロであり、企業側のニーズは熟知しているはずだ。2つの調査結果が似た結果になったということは、経営と営業がAIに代替されにくいというイメージはかなり普遍的なものと考えてよい。
経営系の仕事が代替されにくい理由として列挙されていたのは、「責任が発生する」「論理では割り切れない」「独自性が重要」――といったものである。細かい理由はともかくとして、経営系の仕事がAIに代替されにくいという話は、恐らくほとんどの人が同意するに違いない。
一方、営業が代替されない理由としては、個性やキャラクターが相手との関係構築に重要といったものが多かった。つまり、転職のプロもビジネスマンも、営業は個性が大事なのでAIには代替されにくいと考えていることになる。だがこの仮説は正しいのだろうか。これについてAIの研究者たちは少し異なる見解を示している。
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