「営業」の仕事はAIでどう変わるのか:営業部 AI課(4/5 ページ)
AIの普及によって営業の仕事が大きく変わろうとしている。10年後の社会においてセールスパーソンに求められる能力や評価基準は今とはまったく違ったものになっているはずだ。AI時代に営業のプロとして生き残っていくために必要なスキルとは……。
営業に関連する事務作業が自動化されると……
AIのレベルが高度化してくると、AIの仕事はチームの状況分析にとどまらず、営業メールや提案資料、見積書の作成といった、営業に関連する事務作業の一部をAIが直接代替するようになってくる。
これは営業に限った話ではないが、ビジネスにおける業務は、その業務になくてはならないコア業務と、事務作業の2種類で構成されている。全体の中で事務作業の占める割合は高く、場合によっては7割以上を占めることになる。営業の場合のコアな業務は、顧客ニーズをうまく探り出し、適切なタイミングで商品の提案を行うことだ。
実際は、コア業務と事務作業は互いに関連しているので、完全に分離することは難しい。コア業務で高い成績を上げられる人は、事務作業のレベルも高いことが多く、コア業務がずさんな人は、事務作業もやはりずさんである。だが営業の本質は、事務ではなく、あくまで顧客ニーズの把握や提案力にあることは言うまでもない。
一方、営業業務を一定のボリュームで成り立たせるためには、優秀なセールスパーソンばかりではとても数が足りない。そのためこれまでの職場では、セールスパーソンとしてはそれほど優秀ではなくても、ある程度事務作業ができる人であれば採用してきた。AI普及の第2段階では、「提案資料作成が得意」「ビジネスメールの作成が早い」といった事務的スキルは今後ますます陳腐化していくため、この前提条件が崩れてしまうことになる。
営業に付随する多くの事務作業をAIが代替するようになると、営業に関するコアな部分で高い能力を発揮する少数のセールスパーソンと、彼らをサポートするアシスタントがいれば営業チームは回ってしまう。能力に差のある5人のセールスパーソンを抱えるよりも、有能な2人のセールスパーソンがAIを駆使して営業を行い、これを1人のアシスタントが事務作業をサポートする方が、圧倒的に高い営業成績を残せるはずだ。
しばしば「AIの導入によって仕事の50%が失われる」といった話を耳にするが、仕事そのものが消滅してしまうわけではない。現実には、特定の人に業務が集中し、当該業務に従事する人数が半分になってしまうと考えた方がよいだろう。要するにできる人にだけ仕事が集中するのだ。セールスパーソンとしての企業内競争は厳しくならざるを得ないだろう。
では、こうした本格的なAI時代の到来を前にセールスパーソンはどのように対処すればよいだろうか。
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