住みたい街の基準、潮目は変わったのか?:北千住と赤羽が浮上(3/4 ページ)
毎年発表されている「住みたい街(駅)ランキング」に、異変が起きている。「北千住」や「赤羽」など、これまであまり見向きもされなかった街が、人気エリアとして浮上している。今後、どんな街が浮上して、どんな街が寂れていくのだろうか。
「北千住」「赤羽」の台頭から読み取る街選びの変化
HOME'S総研では、各種さまざまな街(駅)にまつわるランキングを発表しているが、そこから「買って住みたい〜〜」「借りて住みたい〜〜」に反映されていない、ニッチなニーズを見て取ることができる。こうしたランキングも、自分に合った街を探す際の重要な指針となる。
例えば、「生活費が抑えられそうな街(駅)」のランキングでは、1位に北千住、3位に赤羽が入っているが、この2つの街は、最近では「穴場エリア」として注目が高まっている。特に北千住の場合は、不動産情報サイト「SUUMO」を運営する株式会社リクルート住まいカンパニーが発表した「穴場だと思う街ランキング」で3年連続1位を獲得しており、もはや人気駅の仲間入りを果たした印象もある。
首都圏は、江戸城(現在の皇居)を中心として城東・城西・城南・城北の4エリアに分類されるが、今までは城南・城西エリアに人気が集中し、城北・城東エリアの街のブランド力は低迷し続けていた。
北千住は常磐線や日比谷線など5路線が乗り入れており、赤羽も池袋・新宿・渋谷・東京・品川にダイレクトアクセスできる屈指の交通利便性を有している。にもかかわらず、吉祥寺や自由が丘などの後塵(こうじん)を拝し続けてきたのは、人気がない城北・城東エリアに位置していたからだ。
しかし、2012年に開業した東京スカイツリーが、「城南・城西>城北・城東」の風潮に一石を投じる。スカイツリーが建ったことで東京の東側エリアへの注目が高まり、その過程で、人々が東側エリアの魅力に気付き始めたのだ。交通利便性が高い割には家賃がお手頃というのも大きいが、昔ながらの商店街に代表される「下町の雰囲気」が、人気の下支えになっている。
HOME'S総研が調査・集計した「スッピンで歩けそうな街(駅)」ランキングでは、赤羽が1位、北千住が4位に入っている。北千住などはマルイやルミネといった商業地が充実しているので、実際にスッピンで歩けるかどうかは分からないが、この「気取らなくていい庶民派」のイメージが、昨今の街選びでは重要な指標のひとつになっているのだ。
また、北千住や赤羽は飲食街が充実しており、特に赤羽は「昼から飲める街」のイメージが定着している。また清野とおる原作の漫画が『山田孝之の東京都北区赤羽』としてドラマ化されたことで、赤羽のブランドもにわかに高まっている。
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