スマホで買って後払い「atone」 開発の狙いとは:リアル店舗も視野に(1/3 ページ)
後払い決済サービスのネットプロテクションズが、カードレス決済の新サービス「atone(アトネ)」の提供を始めた。開発の狙いや今後の展望などを柴田紳社長に聞いた。
後払い決済サービスのネットプロテクションズは6月、カードレス決済の新サービス「atone(アトネ)」の提供を始めた。購入した商品の代金1カ月分を翌月にまとめてコンビニで支払う仕組みで、会員登録のみで利用できる。インターネット通販などの電子商取引(EC)から導入を進め、デジタルコンテンツなど物販以外の業界や、実店舗へのサービス拡大を視野に入れる。3年後に会員数1000万人、年間取扱高1000億円を目指す。新サービス開発の狙いや今後の展望などを柴田紳社長に聞いた。
「NP後払い」のノウハウを活用
――atone開発の背景には、2002年から展開している通販事業者向け後払い決済サービス「NP後払い」で培ったノウハウがあります。NP後払いは、16年度に年間利用金額1400億円、導入店舗数2万3000店となり、後払い決済サービスとして定着しています。
NP後払いは「世にない決済サービス」を作る挑戦でした。購入者が商品を受け取った後で請求書を発送し、コンビニなどで支払ってもらいます。加盟店に対しては、未回収リスクを保証します。双方にとって安心な仕組みですが、当初は未回収リスクが読めず、恐怖感もありました。15年間の経験によって、大量の決済を取り扱えるようになり、1億件以上の購買歴などのデータと与信ノウハウを蓄積してきました。その積み重ねによって、リスクは安定しています。
日本では後払い決済のニーズがあると感じています。クレジットカードを持てない層というよりも、クレジットカードを好まない層のニーズがあるからです。また、カタログ通販に慣れている中高年の主婦の方などは、「通販は後払い」というイメージが強いように思います。
今後、買い物をスマートフォンで済ますようになってくると、さらにチャンスは拡大するでしょう。カードを出して番号などを確認できない場所でも、後払いなら手軽に買い物ができるからです。atoneでそのニーズをより拾いやすくしていきます。
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