ソフトバンクの1Q、大規模ファンドと復活のSprintが好調:デリバティブ損失で純利益98%減も(2/3 ページ)
ソフトバンクグループの2018年3月期 第1四半期(17年3〜6月)の連結決算は、売上高・営業利益がともに前年同期比を上回ったものの、中国Alibaba株のデリバティブ取引関連で巨額の損失を計上。純利益は98%減となった。
苦境脱したSprintが好調、米携帯事業者の買収については「話せない」
コスト削減を中心とした経営状況の改善に成功した米携帯子会社Sprintも好調で、営業利益は前年同期比約3倍の1320億円に拡大。純利益は約220億円で、過去3年間で初の黒字に転換した。
孫社長は「ネットワークが改善し、競合他社よりも通信速度が高速化していることが好調要因。多くの人にとって予想外かもしれないが、Sprintは不振を脱却し、当社の重要な収益源に育っている」と話す。
孫社長は5月に開いた2017年3月期決算発表会で、米T-Mobileなどの買収も視野に入れた米携帯業界の再編に意欲を見せていたが、交渉の進捗状況については「複数の企業との事業統合が合意に近づいているが、具体的な社名と状況は話せない」とした。
先行投資の影響で通信事業は減益
主力の国内通信事業の営業利益は、9%減の2185億円。顧客基盤拡大のため、ソフトバンクのスマートフォン契約者に提携先の商品を無料提供するキャンペーン「SUPER FRIDAY」、大容量プラン「ギガモンスター」などの施策を展開したため。
孫社長は「一連の施策は『健全な先行投資』。国内通信事業は10年〜20年単位でさらに成長できると考えているため、目先の利益ではなく今後の発展を重視した」と説明。
その他のセグメントでは、ヤフーの営業利益が2.5%増の516億円と好調。昨年9月に買収した英ARMは69億円の営業損益を計上し、売上高・チップ出荷数はともに増加。孫社長は、IoT(モノのインターネット)や自動運転技術の発展に向け、引き続きARM事業に注力する意向を示した。
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