乗り鉄にチャンス!賞金5万「鉄旅オブザイヤー」一般部門:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)
国内の優れた鉄道旅行商品を表彰する「鉄旅オブザイヤー」で、今年も一般部門の募集が始まった。「賞金5万円、ただし表彰式は自腹で来てね」というホノボノしたイベントだけど、旅好きを自認するならチャレンジしよう。審査員の1人として応援と期待を申し上げたい。
審査は5項目 プロと同じ土俵で勝負できる
応募条件として訪問先が限定されている。JRグループのディスティネーションキャンペーン(関連記事)の開催地だ。18年度の開催地は春(4〜6月)が栃木県、夏(7〜9月)が鳥取県・島根県、秋(10〜12月)が愛知県、冬(1〜3月)が京都市となっている。四季によって開催地が異なるけれど、時期は問わない。春に京都をテーマとした旅でもいいし、冬に山陰の旅を企画してもいい。
最近の情報では、JR西日本が7月に向けて山陰方面に新たな観光列車「あめつち」を運行すると発表した(JR西日本のニュースリリース)。JR東海も10月に向けて新たな観光列車を走らせる方針と報じられている。ディスティネーションキャンペーンに向けて、JRも自治体も新たな施策を始める。各地の観光協会のWebサイトも参考にしよう。
具体的な審査方法は書けないけれど、審査項目は16年度の授賞式で公開された。以下の5項目だ。
「企画性」 旅行のプロも顔負けの企画力が感じられるか?
いきなりハードルの高い項目だ。ここは常識にとらわれない大胆な発想力と考えよう。個人ではできないけれど、旅行会社ならできることを考えたい。ツアーなら貸し切りバス、貸し切り車両が使える。つまり、路線バスに縛られないルートも検討できる。車両基地見学、通常ダイヤにはない列車の設定も考えると楽しい。
「オリジナリティー」 他に類を見ない独創的な作品となっているか?
過去の受賞・佳作作品の模倣にならないように。新しいイベント、列車を組み込むという方法もある。企画性と重なる部分でもある。現地在住者でないと気付かないような沿線のイベント、景色、特産品などを盛り込むといいかもしれない。
「鉄道力」 乗車する列車・路線の魅力度
自分の趣味全開で突き進もう。消えゆく国鉄車両に乗りまくるとか、珍しい踏切を訪ね歩くとか。廃線跡、廃駅、保存施設など、鉄道趣味の対象なら現駅路線や列車にとらわれなくてもいい。
「非鉄誘因力」 非鉄道ファンにとって旅自体の魅力度
実はこれが難しい。「鉄道力」に反する要素でもあり、折り合いを付けられる部分でもある。車窓から紅葉を眺めるとか、立ち寄り地で名物料理を食べる、珍しい酒、そば打ち体験などグルメ系と絡めると分かりやすい。鉄道にはあまり興味のない友人を誘う場合、その友人が何に興味を持つかを想定してみよう。
「参加意欲」 この旅行商品が実現したら参加したくなるか?
自分で作った企画だから、参加したいに決まっている。ここで考慮するのは価格とのバランス。また、体力を考慮して移動、拘束時間に無理がないか、などといった視点も必要となる。プランだけなら簡単だ。実行した場合を想像しよう。
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