UFOキャッチャーが人の心を“つかみ”続けている理由:水曜インタビュー劇場(改良公演)(6/6 ページ)
アミューズメント施設などでUFOキャッチャーをプレイしたことがある人も多いのでは。UFOキャッチャーは1985年に登場したのに、なぜいまでも多くの人に愛されているのか。セガ・インタラクティブの担当者に話を聞いたところ、意外なことが分かってきた。それは……。
ユーザーの心をつかむ
土肥: UFOキャッチャーでプレイしている人は、ボタンを押して、景品を取ることに必死になっている。その裏で、さまざまな改良を加えてきたわけですね。
深澤: よかれと思ってやったのに、結果的に裏目に出たこともあります。クレーン先端の爪の部分(金属)は、交換することができるんですよね。景品の重さや大きさによって爪の角度、幅を調整することができるんです。ただ、爪の部分はネジで止めなければいけませんでした。ネジが小さいので、落としてしまうと、どこにいったのか分からなくなるケースがあるんですよね。私も落としたことがあって、そのネジがどこにいったのか分からなくなったことがありました。
その作業をなくすために、1994年のモデルで爪の部分を金属から樹脂製にしました。ネジをなくして、カチッとはめるような形にしたんですよ。ワンタッチでできるようになったので、お店の人は絶対に喜ばれるはずだと。それなのに、このモデルを導入した店の人から「先端を曲げることができないじゃないか」といった声が出てきました。
土肥: どういう意味ですか?
深澤: 先端部分が金属製のとき、オペレーターさんたちは自分たちで調整していたんですよね。この景品の重さの場合、このくらい曲げてといった感じで。でも、樹脂にしたので、曲げることができなくなりました。また、使っていると割れてしまったり、小さな景品をつかむことができなかったり。先端部分は変えることができたので、古い金属製の爪をわざわざつけている店も出てきました。これではいけないということで、1996年に発売したモデルで再び爪の部分を金属に戻しました。
自分だけの思いでつくると、現場から不満が出ることがあるんです。また、プレーする人のことだけを考えても、現場から不満が出ることもあるんです。
土肥: だから、現場に足を運んで、オペレーターさんの話を聞くと?
深澤: できるだけたくさんの店を回らなければいけません。なぜなら、同じ景品でも店によって運営の方法がかなり違うから。景品をズラして取れる方法を苦手にしているところはぶらさげていたり、ぶらさげることが苦手なところはズラして取れる方法を導入していたり。たくさんの店を回ることによって、さまざまな運営方法があることが分かってきます。私たちは現場で何が起きているのかを把握していなければいけません。30年以上も支持されてきた理由のひとつに、現場の声を聞いてきたことがあるのかもしれません。
土肥: ファンの心をワシづかみ……いや、イーグルキャッチャーではないので、つかみ続けてきたわけですね。本日はありがとうございました。
(終わり)
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