UFOキャッチャーが人の心を“つかみ”続けている理由:水曜インタビュー劇場(改良公演)(5/6 ページ)
アミューズメント施設などでUFOキャッチャーをプレイしたことがある人も多いのでは。UFOキャッチャーは1985年に登場したのに、なぜいまでも多くの人に愛されているのか。セガ・インタラクティブの担当者に話を聞いたところ、意外なことが分かってきた。それは……。
細かい改良を重ねてきた
深澤: UFOキャッチャーが登場したころは、つかんで、持ち上げて、落とす。単純な作業だったわけですが、その後、さまざまな形の景品が登場することで、ユーザーのテクニックも向上していきました。ひっかける、わっかに落とす、ズラしてズラしてなど。それに伴って、運営方法も変わっていきました。
私たちは現地に足を運びオペレーターさんの話を聞いて、作業風景を見て、そこで得た気付きを新しい機種に反映していきました。
土肥: 例えば?
深澤: たくさんあるのですが、例えば、ガラスの清掃ってものすごく大変なんですよね。ガラスの面積が大きいだけでなく、ガラスとガラスが重なる部分って、清掃するのが大変でした。手が入らないので、清掃するためにいちいちガラスを外さなければいけません。その作業は面倒なので、ガラスとガラスをクロスさせることで、簡単に清掃できるようにしました。
あと、UFOキャッチャーがどのくらい利用されているのか、オペレーターさんは1台1台チェックしていたんですよね。機械の前でしゃがんで、カギを開けて、いくら入っているかなどメモをして。オペレーターさんは売り上げ管理に時間をかけるよりも、接客に時間をかけたい。手作業で売り上げ管理をしていては時間がもったいないので、いまでは機械に無線を設置することで、1カ所でこの機械はこのくらいの売り上げがあるといったことが分かるようにしました。
土肥: 細かいですねえ。
深澤: いえいえ、細かい話はまだまだたくさんあります。例えば、落とし口。大きい景品をつりさげていると、センサーにひっかかることがありました。そこで、店側はセンサーをオフにするのですが、そうするとセキュリティの精度が落ちてしまう。セキュリティの精度が落ちると、取り出し口から侵入して、景品を取ろうとする人が出てくる。ということで、お店は取り出し口が開かないように設定していました。
土肥: 景品を手にするには、店員さんに声をかけて、その人にカギを開けてもらうわけですよね。個人的に、それはイヤ。自分が落とした景品は、取り出し口で手にしたいです。
深澤: ドイさんのような人が多いと思って、ある工夫を施しました。普段はロックがかかっているのですが、景品が落ちたときに取り出し口が開くようにして。「じゃあ、取り出し口が開いているときに入れるじゃないか」と思われたかもしれませんが、取り出し口が開いているときに入っても、今度は落とし口のシャッターが閉まるようにしました。さらに、重さのセンサーを設置しましたので、人が中に入ると、重さに反応してブザーが鳴るようにしました。
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