“泥試合”を強行した日本のプロ野球は、やっぱりおかしい:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
10月15日、甲子園球場がある兵庫県西宮市は雨。グラウンドに水たまりがたくさんあるなかで、阪神対横浜のクライマックスシリーズは行われた。レギュラーシーズンであれば「中止」レベルであるにもかかわらず、なぜ試合は行われたのか。その裏には……。
“泥試合”開催は一種のトラブル
だが、その後矛盾も生まれてしまった。18日にマツダスタジアムで行われたセ・リーグのCSファイナルステージ第1戦、広島対DeNA戦だ。試合中から降り注いだ大雨はCSファーストステージ第2戦、阪神対DeNA戦とほとんどそん色ないレベルだったはず。それでも今度は審判員が5回で試合を止め、直前に3点を奪っていた広島の降雨コールド勝ちとなった。
この試合に関して言えば、審判員が降雨コールドの決断を下したことは何も間違っていないだろう。しかしながら大雨の中で9回まで強行されたCSファーストステージ第2戦、阪神対DeNA戦の際にセ・リーグの杵淵統括が「始まれば9回を目指すのも当たり前」と発言したことに矛盾が生じてしまう。
セ・パのCSはメジャーリーグのポストシーズンにならって、日本プロ野球界でも10年前から導入されたシステム。消化試合を減らすことでプロ野球人気の活性化につながっているとはいえ、元をただせばこのCS開催によって日本プロ野球界が「金もうけ」を狙っているフシも強い。本拠地開催の権利を得られれば、多く見積もって1試合につき2億円から3億円もの臨時収入を球団側は得られることも、その一例として挙げられるだろう。
そういう安易な発想からスタートしていることに加え、CS開催の日程をレギュラーシーズンと日本シリーズの間へと強引に詰め込んだため、そのスケジュールはかなりタイトになっている。今年の“泥試合”開催はその弊害によって生じた一種のトラブルと見ていい。NPBが日程に余裕を持たせず無茶苦茶なスケジューリングとルールを作っていたから、このような論争を巻き起こしてしまったのだと思う。
関連記事
- 新刊『バカ売れ法則大全』 出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの人気記事をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』を刊行します。東京の中心部で赤い自転車に乗っている人が増えているワケ、『コロコロコミック』が小学生男子のハートをつかんでいる秘密などに迫っています。 - 働かない松坂と契約延長しても、球団が一儲けできる背景
福岡ソフトバンクホークスの松坂大輔投手が来季も契約延長となる可能性が高まってきている。ろくに働いていない彼と契約することで、球団はどのようなメリットがあるのか。そこには親会社と球団の戦略があって……。 - 「引退」がささやかれても、なぜハンカチ王子はたまに結果を出すのか
ある意味で「スゴい」と認めざるを得ない。日本ハム、斎藤佑樹投手のことだ。入団以来、ブレイクすることなく何度も「引退」がささやかれながら、なぜたまに結果を出すのか。 - 野球評論家の張本勲氏は、なぜ失言を繰り返すのか
人気情報番組『サンデーモーニング』に出演している野球評論家・張本勲氏のコメントが、ネット上でしばしば“炎上”する。現役時代の張本氏は偉大な選手だったのに、なぜ失言を繰り返すのか。スポーツライターの臼北氏が分析したところ……。 - 40歳を超えても、イチローと上原がメジャーで活躍できるワケ
今年10月で44歳になるイチロー外野手と、4月に42歳になった上原浩治投手が、いまもメジャーリーグで活躍している。40歳を超えてても、なぜ2人は現役でプレーすることができるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.