「最後の希望の光」モンストと歩んだミクシィの4年間:ミクシィ森田仁基社長インタビュー(3/5 ページ)
4周年を迎えたスマホゲーム「モンスターストライク」は、ミクシィという会社を救ったタイトルとしても知られている。モンストのヒットで、ミクシィはどのように変わったのか? 「モンスト」に立ち上げから関わるミクシィ森田仁基社長インタビュー。
モンストのヒットで、ミクシィは変わったのか?
――モンストは順調に成長し、14年2月時点ですでにミクシィの新たな主力事業となりました。そして森田さんの社長就任が決定します。これだけヒットしているゲームですから、現場でもっとこのタイトルに関わりたいという気持ちはなかったのでしょうか。
ミクシィがかなり苦しかったころ、会社を去っていく人もたくさんいましたし、僕自身も精神的にやられていた時期もありました。「その時期を経て、なお残ってくれている社員に気持ちよく仕事をしてほしい」という思いから、社長就任の話を受けました。社長になってからしばらくは現場の仕事も続けていて、モンストのCMのクリエイティブチェックをしたり、相変わらず人の説得をしたり(笑)。ただ、徐々にモンストの仕事は現場のチームに渡していきました。
――社長に就任してから、大きく変わったことはありますか?
社長になってから気軽に社員と飲みに行けなくなりましたね(笑)。真面目な話をすると、気持ちの面では変わってはいないのですが、会社全体を俯瞰しての人や資金のリソースを考えるようになりました。強く思ったのは「『mixi』と同じ状況を作ってはいけない」。「このプロダクトがヒットしているから、ヒットしているプロダクトにリソースをつぎ込むだけでいいや」と思っていると、いずれやって来るサービスの停滞や減速に対応できない。特にコンテンツにはそういう危機があります。ですから、モンストは木村が引っ張ってどんどん新しいことをやってもらい、僕は事業のポートフォリオを増やしていこうと考えました。その木村も今では新しい事業に取り組んでいますが(笑)。
――15年3月にチケットフリマサービスの「チケットキャンプ」運営のフンザを買収しました。115億円という巨額買収が話題になりました。
僕にとっても初めてのM&Aだったので、かなりプレッシャーでした。でも、どんどん違う事業への挑戦をしていく必要があります。フンザがジョインしたのは3月ですが、初日にいきなり「チケットキャンプ」のCMの打ち合わせをやったのを覚えていますね。
――モンストのヒットで、ミクシィという会社はどのように変化したでしょうか。
一番沈んでいたころと比べると、全然違う会社になっているのではないかと思いますね。そういう辛かった過去があるからこそ、まだまだ足りていないかもしれないけれど、福利厚生、賞与、評価制度といった社員がのびのびと働ける仕組みづくりを14〜15年ころに集中的に整理しました。ミクシィで働いていることをプラスに感じてもらいたいと思ったからです。
事業ポートフォリオを増やすのは、社員のためにもなると思うんですね。同じプロジェクトに関わるのが好きな人もいれば、違うことに次々と挑戦したい人もいる。1つの事業しか展開していなければ、違うことをやりたい人は転職を選んでしまいますが、社内に新しい事業があればそちらで力を発揮してもらえるかもしれない。社内にいろんな文化やいろんなスタジオがあり、スタジオ間の異動も頻繁に行われる――そういう環境を整備したい気持ちもあり、さまざまな新規事業を展開しています。
モンストのスタジオであるXFLAGも、4年のあいだゲームだけをやっているとチームやプロダクトがダメになってしまう。アニメやリアルイベントをやったり、マーチャンダイジングをやったり……と何か新しい挑戦をして、反省をして、次に生かす……ということを繰り返しています。例えば15年開催の「MONSTER STRIKE FESTIVAL 2015(モンフェス2015)」では、想定以上のお客さまにお越しいただき、運営上でご迷惑をおかけしてしまいました。ただ、そうした中でリアルイベントのノウハウを溜めていき、今年も大型イベント「XFLAG PARK」を開催することができています。
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