「最後の希望の光」モンストと歩んだミクシィの4年間:ミクシィ森田仁基社長インタビュー(4/5 ページ)
4周年を迎えたスマホゲーム「モンスターストライク」は、ミクシィという会社を救ったタイトルとしても知られている。モンストのヒットで、ミクシィはどのように変わったのか? 「モンスト」に立ち上げから関わるミクシィ森田仁基社長インタビュー。
3年目で「過去最高更新」の衝撃
――一般的に、ヒットしたゲームは数年でピークアウトするといわれています。ところがモンストは、3周年にあたる16年10月にアクティブユーザー数が過去最高を更新、さらに17年1月にもう一度更新しました。これはゲーム業界では大きな衝撃でしたが、社内ではどういった思いだったのでしょうか。
経営陣も現場も「できるはずだ」と目指してやってはいましたが、正直全員驚きましたね。ここまで多くのユーザーが戻ってきてくれるというのは、他のインターネットサービスの中でも類がないことではないでしょうか。
16年前半はダウントレンドで、時には過去の苦しい思い出が頭をよぎったりもして、社内ではかなり危機意識を持っていました。長い間1つのことをやっていると、どうしても気が付くと同じことをやってしまうことがある。組織や意思決定プロセスを変えた上で、現場チームが頑張ってくれたことで、なんとか盛り返すことができました。
――一方で、モンストが生まれた時点でトップを走っていた「パズドラ」はピークアウトを迎え、新規の大型タイトルが次々と生まれています。スマホアプリゲーム業界の“世代交代”を感じることがあります。
ますます群雄割拠になっていますね。新しくヒット作を生み出すのは難しいし、そもそもキープするのも難易度が高い。モンストも、ゲームが飽和していく中で、外に向けていくチャレンジをし続けていく必要性を感じています。海外展開は北米と韓国は撤退しましたが、中国には再参入しました。6月リリースしたゲーム「ファイトリーグ」という次の展開にも力を入れています。
――激しい競争が繰り広げられるゲーム業界で、モンストが勢いを保っていける理由はなんでしょうか。
XFLAGスタジオが掲げているスローガンは「ユーザーサプライズファースト」。「モンストは次に何をやるんだろう?」と期待してもらえるような施策をどれだけできるか。それができないと下がっていくだけなので、ユーザーを驚かせることを常に意識して、ひたすら頑張っています。
もちろんビジネスとして売り上げを見てはいますが、ランキングなどにはこだわりすぎないようにしています。「ランキング1位」であることを気にしすぎると、見失ってしまうものがたくさんある。順位を気にして新イベントや新キャラを出すのは、ユーザーを無視した行為ですし、そうやって伸ばすと必ず反動がある。それよりも、ずっと遊び続けてくれるユーザーを大事にして、還元したいと考えています。
――定期的に行っているリアルイベントも、そうしたユーザー還元への意識なのでしょうか。大型イベントを完全無料で行うのは、コスト面だけ見れば非常に重いように思います。
単体で見れば赤字というイベントもありますね。全国を回ってモンストのグッズを販売する「モンスト物産展」も、グッズを売るだけならオンラインストアでもできることです。ただ、実際に遊んでいるユーザーに会いに行って、還元したいという思いが強い。もちろん数字は見ていますが、現状はこうしたリアルイベントをやめる予定は全くありません。チームにとっても、ユーザーと接してじかに熱量を感じることは大きなプラスになります。
それから、近年ライブエンターテインメントの価値が上がっていると感じています。ちょっと前の世代はいわゆるモノ消費で、形に残るものにお金を払っていた。ですが、今の世代はコト消費。モノではなく、お金では変えない体験のニーズが高まっています。リアルイベントはそうしたニーズを満たすこともできると考えています。モンストはある種の経済圏を形成できているので、モンストを中心にしていろいろなジャンルにチャレンジしていくことができます。XFLAGがプロバスケチームの「千葉ジェッツふなばし」のスポンサードを始めたのも、スポーツのようなライブエンターテインメントと、XFLAGのノウハウがミックスすることで、新しいことができるのではないかと考えたからです。
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