ソフトバンク、上半期は営業益35%増 統合破談のSprintが好調:NVIDIA株上昇のファンドも貢献(3/3 ページ)
ソフトバンクグループが2017年4〜9月期の連結決算を発表。米T-Mobile USとの統合が破談に終わった米携帯子会社Sprintが好調だった。米NVIDIA株が上昇した影響で「Softbank Vision Fund」も大きく貢献した。
会見での質疑応答
――Sprintの全経営権を持つことは難しかったとしても、一定の株式を所有することで経営に対する影響力を保つという選択肢もあったのではないか。
孫社長: T-Mobile USとほぼ同格の経営権を持つ可能性はあったが、当社の戦略上、Sprintの運営に主体的に取り組むべきだと判断した。革命や改革には、腹をくくった経営が必要だ。
当社の歴史を振り返ると、これまでのM&Aの案件は、多数決ではなく私がやや強引に決めたケースが多い。私は当社の将来のビジョンに対する思い入れが強いため、Sprintの経営権をしっかり持っておくべきだと判断した。
――ソフトバンクグループの過去のM&Aは全て水面下で進めており、相手を公表するケースはなかった。孫社長は以前の決算会見で、T-Mobile USと交渉していることを公言していたが、なぜ今回は交渉をオープンにしたのか。あえて名前を挙げることで、交渉を優位に進める目的があったのか。
孫社長: T-Mobile US側が当社と交渉中であることを公言していたため、こちらもノーコメントというわけにはいかなかった。3年前にも交渉しているため、隠していても仕方がないと考えた。
交渉は誠意を持って、真正面から真剣に取り組んだ。ただ、どうしても譲れない線があったため破談に終わった。
――米国のケーブルテレビ会社など、携帯事業者以外の企業と合併する可能性はあるのか。
孫社長: 時と場合と条件、相手によるが、基本的には“何でもあり”。Sprintは、単独で半期当たり約2000億円の営業利益を出せるところまで来ている。焦らず、ゆったり構えたいと考えている。
――米国にとどまらず、アジアや欧州の携帯事業者を買収する予定はあるのか。
孫社長: こちらも“何でもあり”だが、順序や重要性を考慮する必要がある。直近で具体的な案件があるわけではない。
――米国のトランプ大統領が来日している。孫社長も今日のミーティングでお会いしたとのことだが、印象はどうだったか。
孫社長: 米国に工場を建設する企業の方と握手をしており、さすがはビジネスマン出身の大統領だと感じた。(米国では)GDP(国内総生産)、雇用、株価がともに伸びているため上機嫌だった。
北朝鮮問題は懸念していたが、安倍(晋三)首相と連携し、密接に情報のやりとりをしながら対応しているようだ。日米関係は非常にうまくいっていると感じた。
――11月3日に発売した iPhone X(テン)の売れ行きはどうか。
ソフトバンクの宮内謙社長: (9月22日に発売した)iPhone 8の約2倍売れており、供給が追い付いていない状況だ。
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