沿線女子が企画、カーペット敷き「汽車カフェ」で女子会しよう:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ)
「このままでは廃止されてしまうかも」。ローカル線を活性化するために、沿線の女子が立ち上がった。11月18日に催行予定の「癒やしの汽車旅 木次線 おくいずも女子旅列車」は地元の女性ならではの企画。地域が鉄道と関わるという意味でも重要なイベントだ。
木次線活性化「観光列車プロジェクト」第2弾
「木次線ワイン&チーズトレイン」の不振で、関係者は意気消沈だっただろう。もう次はないのかな、と思っていたところ、今回の「女子旅・汽車カフェ」企画が立ち上がった。ワイン&チーズトレインから教訓を得て、新たな試みにチャレンジしたという。顧客ターゲットを女性に定め、既存車両を改装して貸し切りにする。
普通列車用の既存車両をそのまま使った観光列車はJRでは珍しい。JR各社はどちらかというと、入念なマーケットリサーチを行い、しっかり改造した車両を使う。既存車両を使って飲食を伴う観光列車という仕立ては、第三セクターや地方の私鉄などに見られる方法だ。車体改造の予算がない中で、精いっぱいのおもてなしをする。ほほ笑ましいけれど侮れない。一定の成功を収めている事例が多い。
小さな会社は、社長や自治体首長の「やろう」という鶴の一声で企画できる。しかし、JRという大きな会社では簡単にはいかない。木次線の観光列車プロジェクトは、JR西日本の本社ではなく、地元の要請を受けて木次鉄道部という事業所から始まる企画だ。新たなことをやるためには、上位組織の決済が必要になる。実は今回の女子旅列車も、10月と11月の2回の催行予定だった。しかし、内装に使う素材の耐火基準の検証に時間がかかったため、11月だけの催行となった。
しかし「JR西日本でも簡易スタイルの観光列車はできる」という実績ができた。これは木次線だけではなく、他のJRローカル線の沿線自治体にとっても朗報だ。こういう動きがJR西日本、いや全国に広がれば、日本の鉄道旅はもっと面白くなる。地域の観光活性化につながっていく。観光政策の柱として補助金をいただいてもいいくらいの話だ。
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