ダイドー「デミタス」 甘すぎない微糖を実現した“変えない価値”:「甘さ控えた微糖」とは?(2/4 ページ)
ロングセラーの缶コーヒー「ダイドーブレンド デミタス」。その商品戦略を支えているのが、ダイドードリンコの土屋淳一さんだ。新商品「甘さ控えた微糖」の開発背景から、伝統を守り伝える土屋さんの仕事術を探る。
「微糖は甘すぎる」新たなニーズに着目
新商品の「甘さ控えた微糖」のネーミングは、一見すると味をイメージしづらい。「微糖」そのものが甘さを控えた味ではないのだろうか。文章を書く立場からすると、表現が重なっていて、違和感を覚えてしまう。
しかし、「缶コーヒーのユーザーには伝わる表現」と土屋さんは言う。そこには、缶コーヒーの「微糖」にまつわる商品開発の難しさが関係している。
缶コーヒーに「微糖」が登場したのは20年ほど前。健康志向によって、砂糖の取り過ぎを心配する人が多くなり、甘い缶コーヒーにも変化が求められた。それなら、砂糖を減らせばいいかというと、それも簡単ではない。砂糖を減らすと、缶コーヒー独特のコクも失われ、味が薄くなってしまう。飲みごたえがなくなると、ぐいっと飲みたいという需要にも応えられない。
そこで、砂糖を減らす代わりに使われたのが甘味料。砂糖を減らしても甘さやコクを維持できることから、多くの商品がこの方法で作られた。これが「微糖」だ。「微糖といっても、甘いじゃないか」と思ってきた人もたくさんいるだろうが、それは当然。おいしさを変えずに砂糖を減らしたものが、微糖だったのだ。
微糖が缶コーヒーの主流になった現在、土屋さんらは新たなニーズに注目した。それは、「本当に甘さを控えた微糖」へのニーズだ。缶コーヒーのユーザーからは「微糖は甘すぎる」という声があった。そういった人たちには「甘さ控えた微糖」という表現の意図も分かってもらえる。そう考えた。
関連記事
- なぜケーキを飲み物に?「飲むショートケーキ」を飲んでみた
ダイドードリンコは11月28日から、JR東日本の自販機向け新商品「コクGrand time ふって飲む甘美なショートケーキ」を販売する。ビジネスパーソンが帰宅時間に求める「癒やし」需要を狙う。 - バスクリン若手社員が立ち上げた「銭湯部」の効能
入浴剤の老舗メーカーのバスクリンで若手社員が立ち上げた部活動「銭湯部」。廃業によって減っている銭湯を「盛り上げたい!」という思いから始めた活動だが、社内の世代間交流促進にもつながっている。その取り組みについて、仕掛け人に聞いた。 - 「ザ★チャーハン」が男性の胃袋をつかんだ理由
味の素冷凍食品の「ザ★チャーハン」が、冷凍チャーハン市場拡大に貢献している。中華料理店のチャーハンのような味や香り、独自性のあるパッケージはどうやって生まれたのか。担当した、マーケティング本部の田中宏樹さんに聞いた。 - 閉店に追い込まれた温浴施設が若者から大人気になった理由
若い女性に人気の温浴施設「おふろcafe utatane」――。実は4年前までは年配の男性客が中心で、しかも赤字続きのスーパー銭湯だったという。おふろcafe utataneを運営する温泉道場の山崎寿樹社長はどのようにして施設を改革したのか。 - 「どうせ売れない」を覆した「もぎたて」大ヒットの理由
2016年に706万ケースを販売したアサヒビールの缶酎ハイ「もぎたて」。これまで、売れる酎ハイをなかなか生み出すことができなかった同社が、なぜ大ヒット商品を生み出せたのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.