「忖度御膳」空振りのうわさから考える、ファミマの“迷い”:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
ファミリーマートが発売した「忖度御膳」の売れ行きが悪いのではないか? とネット上で話題になっている。もともと数量限定であり、販売不振が本当だとしても、同社にとって大きなダメージにはならないだろう。しかしながら今回の一件は、曲がり角を迎えたコンビニビジネスの現状を浮き彫りにしたという点で非常に興味深い。
コンビニは誰をダーゲットにすべきなのか
この商品はコンセプト自体は社内で生み出されたものだが、商品化に際してはTwitterの意見を活用した。TVアニメ「けものフレンズ」に関連した商品と「忖度」に関連した商品のどちらを具体化して欲しいかとの問いに対して、圧倒的多数で「忖度」に支持が集まったことで商品化が決まった。
Twitterで回答した人の属性は不明だが、恐らく中高年よりは若年層の方が多いと考えられる。もしそうだとすると、若年層に対するアンケート結果をもとに高齢者向けの商品を作ったことになり、消費者との間に何らかのミスマッチが発生してもおかしくはない。
ファミリーマートにとっては数ある商品の1つであり、仮に販売が不調でも経営に大きな影響を与えることはないだろう。だが、今回の一件は、コンビニビジネスが抱える課題を浮き彫りにした。それは、コンビニは今後、どのような属性の顧客にフォーカスすればよいのかという、いわゆるターゲティングの問題である。
コンビニは加工食品が多かったこともあり、当初は若年層の男性客の利用が多かった。コンビニの店舗では大抵の場合、入り口の横に雑誌コーナーが設置してあるが、これは外の歩行者に雑誌を見せ、来店を促すことが目的である。雑誌に引き寄せられて来店するのは、大抵が男性客である
その後、コンビニは化粧品などのラインアップを拡充して女性客を確保するとともに、ファストフードを幅広くそろえるようになり、あらゆる客層をターゲットにするようになった。最近では、人口構成の変化に伴い、高齢者の利用も目立つようになっている。
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