「牡蠣」を漢字で書いてほしい ドリル制作の狙いとは?:広島でも1%未満
広島県が制作した「牡蠣(かき)」の漢字だけを練習するドリルが話題に。ユニークなドリルに込めた狙いを聞いた。
広島県が「牡蠣(かき)」の漢字だけを練習するドリルを制作し、話題となっている。ユニークなドリルといえば、2017年にヒットした「うんこ漢字ドリル」(文響社)を思い出す人が多いのでは。
広島県が作ったドリルの名前は「広島 牡蠣とり帳」。生産量日本一の「牡蠣」を題材とした例文を掲載している。例えば、「牡蠣のほとんどは内臓だよ」「室町時代には、広島牡蠣の養殖が始まっていた」「なんと牡蠣にも足がある」など。1冊で「牡蠣」を97回練習できる。
5000部を制作し、生産量の多い呉市と江田島市の小学6年生などに無料で配布を始めた。18年1月には、呉市内の小学校で、練習の成果を披露する「牡蠣初め式(かきぞめしき)」まで開催するという。牡蠣の漢字を根付かせようとする狙いは何か。広島県観光課の担当者に聞いた。
――街頭調査の結果、「牡蠣」という漢字を書けたのはたった0.6%だったそうですね。そもそもなぜこんな調査をしたのですか。
広島県は牡蠣の生産量日本一ですが、これまであまりPRに力を入れていなかったため、観光客がどこで食べられるのかも知ってもらえていない状況でした。その状況を改善しようと、10月から「カンパイ!広島県 牡蠣ングダム」というプロモーションを開始しました。しかし、地元の人たちの知識が乏しかったり、愛着を持っていなかったりすると、発信力は弱いままです。まずは約500人に、牡蠣に対する愛着を調べる調査をしました。
牡蠣は漢字が難しいことから、当初からドリルの制作も念頭に置いていました。そこで、調査の中で漢字を書いてもらいました。90%以上は書けないだろうと思っていたのですが、3人しか書けませんでした。
――例文はどのように作ったのですか。
堅苦しくなく、楽しく学んでもらえるように心掛けました。牡蠣に親しみを感じてもらえるように、イラストもたくさん入れました。例文は「うんこ漢字ドリル」も参考にしています。
面白いだけでなく、牡蠣の知識が身に付くことがポイントです。広島の牡蠣の養殖産業の成り立ちから、栄養素、ブランドなどの豆知識まで順番に盛り込んでいます。まずは楽しく始めてもらって、解いていくといろんな知識を得られるドリルです。
――生産量が多い呉市と江田島市の小学6年生を対象に、配布が始まりました。反応はどうですか。
配布にも立ち会いました。話題になった「うんこ漢字ドリル」に似ていることから、親しみを持ってくれているようです。「牡蠣の漢字を書けるようにしたい」「知識を身に付けたい」といった声がありました。
――小学生には少し難しい漢字では。
もともと牡蠣の生産が多いエリアなので、漢字を目にする機会は多いです。生産事業者のお子さんもたくさんいらっしゃいます。より知識を深めるきっかけにしてもらえればと思います。
――どのように使ってもらいたいですか。
まず漢字を書けるようになって、「牡蠣にも足があるんだ」などと豆知識を知ってほしいです。そして、大人になってもうんちくとして語れるような知識として、蓄えてほしい。牡蠣っておいしいんだよ、すごいんだよ、と発信していってほしいと考えています。
――配布対象者以外も見られますか。
配布対象ではない子どもたちや学校には、見本やデータの提供を考えています。県民向けには県内の公立図書館などで閲覧できるようにします。県外からも「どこで見られるのか」と問い合わせをたくさんいただいており、ありがたいです。増刷やデータ公開は、状況を見ながら検討していきたいと思います。
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