紙のカタログ通販市場は苦戦しているのに、なぜ「ラナン」は好調なのか:水曜インタビュー劇場(分析公演)(2/5 ページ)
EC市場が拡大しているなかで、紙のカタログ通販が面白いことになっている。大手2社が苦戦している一方で、埼玉県に本社を構えるベルーナの売り上げが伸びているのだ。なかでも好調なのは、30〜40代の女性をターゲットにした「ラナン」。その背景を取材してみると……。
「過去」を分析しなければいけない
土肥: 栗生澤さんはラナンでカタログ編集を担当されているんですよね。ファッション誌の編集というのはなんとなく想像ができるのですが、カタログの編集ってどのようなことをしているのでしょうか?
栗生澤: テーマごとに担当が割り当てられていて、「昨年は何が売れていたのか」「今年は何が売れそうなのか」といったことを考えています。例えば、来年の秋は何が売れそうなのか。自分たちの想像力には限界があるので、そうした情報については取引先の人や専門家に話を聞いています。「春はこういうのが流行ったので、秋はこうなるのでは?」といった提案をしてもらって、「このままでは難しいけれど、こうした形にするとラナンに落とし込めるのではないか」といった話し合いをして、企画を進めています。
私たちが得意とするのは未来ではなくて、過去なんですよね。通販をしているので、どういったモノが売れているのか。ジャンル、サイズ、色、柄などすべてのデータが残っているので、数字面から検証しなければいけません。あと、通販は「ビジュアル50%、商品力50%で売り上げが決まる」と言われているので、色がダメだったのか、モデルさんが合わなかったのか、といったことも分析しなければいけません。
土肥: データを分析して、売り上げがアップしたケースを教えてください。
栗生澤: 当社のなかで、「春に綿100%の服が売れる」というデータがあります。ラナンはまだ手を出していない領域だったので、やらなければいけません。というわけで、綿100%の商品を発売したのですが、あまり売れませんでした。そのときの商品が以下の写真になります。なにがいけなかった思いますか?
土肥: うーん、よく分からないなあ。
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