韓国の米国大使がいつまでも就任しない理由とは:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
トランプ大統領が新政権を発足させてから1年が過ぎた。たくさんの問題を抱えているなかで、政府機関の要職が「空き」だらけであることも忘れてはいけない。なぜ、いまだに重要なポストに人が配置されていないのか。
米国でドナルド・トランプ大統領が新政権を発足させてから1年が過ぎた。
トランプはこの1年、何を実現させたのか。数ある公約の中でも大きな成果は1.5兆円の大型減税だろう。目玉のメキシコ国境の壁や、オバマケアの撤廃など実現できていない公約も多いが、逆に公約通りにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)やパリ協定からの離脱を発表し、さらには在イスラエルの米大使館をエルサレムに移動させるとも宣言した。
ただ公約通りに「離脱」「宣言」したが、結局は実現できなそうなものもあると指摘されている。例えばパリ協定については、米国は早くとも2020年11月まで公式に離脱できない決まりになっており、次期大統領(20年に新しい大統領が誕生した場合)が決定を覆せる。また米大使館をエルサレムに移転との発言も、実質的には大使館移転がいつになるか分からないし、結局は「宣言」だけで終わるとの見方もある。
とにかく、話題には事欠かなかったトランプだが、1年の任期を語る上で忘れてはいけないのが、トランプ政権においては政府機関の要職が「空き」だらけだという事実だ。ちょこちょこ話題になるが、いまだに重要なポストに人が配置されていないのである。
その最たるポジションは、在外大使館の米国大使。各地で大使のポストが空席になっているのだが、その中でも多くが懸念しているのは、在韓米国大使だ。現在、米国の安全保障にとって最も危険な懸案のひとつである北朝鮮問題で緊張が続くなか、カギとなる最前線の韓国で米大使が存在していないのである。これは何を意味するのか。いったい何が起きているのか。
実は大使がいないのは韓国だけでない。ドイツやオーストラリア、ベルギー、エジプト、ヨルダン、サウジアラビアといった国々もいまだに大使が不在で、その数は40カ国以上になる。言うまでもなく、大使の仕事は重要なものだ。米国務省によれば、「大使とは、米国の外交使節団を率いる最も重要な役職」だという。繰り返すが、そんな中でも韓国は特に重要な国だ。
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