連載
小型ロケットでRocket Labが快挙 商業化加速:宇宙ビジネスの新潮流(2/3 ページ)
小型ロケットベンチャー企業、米Rocket Labが試験打ち上げに成功、顧客企業の衛星を無事に軌道投入した。世界で民間企業5〜6社がしのぎを削る小型ロケット開発では初の成功事例だ。
商業打ち上げサービス、始まるか?
また、今回の試験打ち上げでは、これまで同社が開発を明らかにしていなかった「キックステージ」と呼ばれる衛星の投入軌道を調整する機器の試験も同時に行われて、Spire Globalの衛星の軌道投入に活用された。これまでは主要ペイロードに軌道が左右されていたライドシェア顧客(相乗りで衛星を打ち上げ顧客)にとって意味があるであろう。
既に同社では今回の試験打ち上げを活用したPlanet、Spire以外にもNASA(米航空宇宙局)、月面無人探査を目指すMoon Expressなど多様な企業と商業打ち上げ契約を結んでいる。今回の試験打ち上げ前にベックCEOは「2回目の試験打ち上げが成功した後には商業サービスに移行できるであろう」と言っていた。
筆者も欧米の宇宙カンファレンスで小型衛星ベンチャーの方々と話す機会があるが、組織の中には世界中で自社の衛星を打ち上げる機会を探し、自社の事業計画と照らし合わせて打ち上げ枠を確保するための専任者がいる企業も多い。それくらい打ち上げ機会の確保は重要な経営課題だ。
しかしながら、まだまだ打ち上げ機会が不足している。従来の大型ロケットへの相乗りや国際宇宙ステーションからの放出に加えて、小型ロケットによる打ち上げに対する期待は引き続き高く、今回のRocket Labの成功はそうした衛星ベンチャー企業にとっても朗報であろう。
1月21日、Rocket Labが試験打ち上げに成功
関連記事
- 2018年の宇宙ビジネスはこう動く!
この年末年始も宇宙関連のビッグニュースが続いている。ますます勢いが増す宇宙ビジネス業界の2018年を展望したい。 - 宇宙旅行事業にサウジアラビアが10億ドル投資した理由
つい先日、Virgin Groupの宇宙事業会社に対して、サウジアラビアの政府系ファンドが10億ドル出資するという発表があった。いよいよ有人の初フライトが近づいてきたようだ。 - 火星まで一気に100人送り込むSpaceXの新型ロケットとは?
宇宙ビジネスの世界で次々とイノベーションを起こす男、米SpaceXのイーロン・マスク氏が新たな野望をぶち上げた。 - 夜間も悪天候も無関係、日本がリードする小型レーダー衛星とは?
世界で衛星ビジネスが盛り上がる中、カメラを用いて写真や動画を撮影する光学衛星とは違い、夜間も悪天候も関係なしに観測可能な小型レーダー衛星が注目されている。その開発をリードするのが日本なのだ。 - 日本の小型ロケットは世界のライバルに勝てるか?
7月30日にインターステラテクノロジズが観測ロケット「MOMO」初号機の実証実験を実施、8月9日にはキヤノン電子が筆頭株主となり、ロケットの開発企画を行う新会社が設立と、日本の小型ロケット開発が盛り上がっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.