“平均点”から抜け出した生保営業マンの「ちょっとした差」:成果につながる行動とは(1/3 ページ)
人生設計に深くかかわる生命保険の営業マンは、どんな営業活動をしているのか。メットライフ生命の野村雄一郎さんは、「ちょっとした差」を生む行動を積み重ね、トップクラスの成績を出している。
「超・営業力」特集:
「営業の成績がなかなか伸びないなあ」「自社の商品が売れないよ」といった悩みを抱えている人も多いのでは。ビジネス書を読んだり、セミナーに出席したり、なんとかいまの立場から抜け出そうと試みるものの、うまくいかない。
では「一流」と呼ばれている営業担当者は“ひよっこ”のとき、どういったところに着目し、どのようにして成長してきたのか。本特集はそのきっかけに迫り、二流から一流になるためのヒントを探る。
生命保険の営業と聞いて、「難しそうだなあ」と思う人は多いのではないだろうか。何十年先を見通したライフプランなんて自分でも分からないのに、顧客を深く理解して最適な商品を提案しなければならない。そんな商品を販売している人の経験には、営業の極意が詰まっている。
紹介するのは、メットライフ生命の野村雄一郎さんだ。リーダーとして部下を育てながら、自身も営業活動を行う「エイジェンシープレーイングマネージャー」として活躍している。国内約4000人のコンサルタントのうち、成績上位3%が選ばれる狭き門、MVPの受賞経験もある。
そんな野村さんも、すんなりとトップクラスの成績を挙げてきたわけではない。何年間も「真ん中ぐらい」の成績だったという。そこから脱することができたのはなぜなのか。そこには「ちょっとした差」があった。
いきなりつまづいた保険営業
野村さんはIT企業などの営業を経て、2009年に入社。IT企業では法人向けにシステムを販売する仕事をしていたが、実際に商品を利用する人と接することはなかった。「もっと人間臭い仕事がしたい」と思ったことから、生命保険の世界に飛び込んだ。母が生命保険の仕事をしていて、顧客から感謝される姿を見ていたことも背中を押した。
入社後もそのイメージは残っており、「お客さまのために、より良い保険を提案しよう!」と、意気揚々と仕事を始める。
ところが、その気持ちは空回りしてしまう。まずは知り合いに話をすることから始めるが、「うざがられる」。特に若い世代は、保険についてまだ考えたくないと思う人は多い。つまり、興味がないのだ。それに気付かず、「いい話をしているのだから、分かってくれる」と思い込み、より熱心に営業してしまった。
あるとき、仲が良い友人に「また保険の話かよ」と言われてしまう。そこで、ようやく自分の行動を見直した。「興味のない話なんて、誰も聞きたくない。自分だってそうです。それなのに、自分が話し続けるばかりで、相手のことを考えられていませんでした」と振り返る。
知り合いにアプローチしたものの全く実を結ばず、いきなりつまづいた野村さん。何とか挽回しようと、飛び込み営業に精を出す。しかし、それもなかなかうまくいかなかった。異業種交流会に参加してみたものの、自分と同じような営業目的の人ばかりで失敗。医者に声をかけようとしても、門前払い……。
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