テレビに進出したユーチューバーはなぜ失敗したのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
米CNNが大きな失敗をした。大物ユーチューバーを取り込んで、新たなコンテンツを発信する予定だったが、うまくいかずに大コケ。なぜテレビ局とユーチューバーは融合することができなかったのか、その原因を探ったところ……。
大物ユーチューバーの人気に乗っかろうと
そもそもCNNがネイスタットと手を組もうと思い至ったのはなぜなのか。
CNNはネイスタットが共同で立ち上げたスマホ向けの動画作成・共有アプリのBemeを2500万ドル(推定)で買収し、ネイスタットも一緒にCNNへ“移籍”させた。目的は、彼が抱える若者層にリーチすることだった。
日本では若者のテレビ離れが顕著になっていると言われているが、それは米国も同じ。さらにいくつものニュース専門チャンネルが存在する米国では、競争も熾烈(しれつ)だ。そこで平均視聴者年齢が59歳であるCNNはネイスタットの人気に乗っかろうと試みたのである。
ユーチューバーとして知られるネイスタットの人気は驚異的だ。彼がアップする動画は世界中の若者に支持されており、YouTubeチャンネルの登録者数は170万人にもなる。例えば、飛行機のファーストクラスの席を200万円以上で購入して体験映像をリポートする動画は人気を博し、視聴回数は4900万回を超えている(参照リンク)。
日本でも動画再生回数で稼ぐ日本人ユーチューバーは良くも悪くもいろいろとニュースになっている。再生回数をベースに彼らが生み出すカネもすさまじく、例えば日本のトップユーチューバーなら、年収は軽く1億円を超える。
もちろん海外のユーチューバーが稼ぐ金額も半端ない。17年に世界でトップになったのは26歳のダニエル・ミドルトンという男性で、年収は1650万ドル(約18億円)。最近、日本の青木ヶ原樹海で自殺遺体を動画にアップして炎上したユーチューバーのローガン・ポールは世界第4位の1250万ドル(約13億6000万円)を稼ぎ出している。ちなみにネイスタットはトップ10にランクインしていないが、動画作成・共有アプリのBemeを立ち上げていたことで、ほかの多くのユーチューバーたちの一歩先を行っていた。
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