池袋の新しいシンボルに? 赤いEVバスの狙いを聞く:注目スポットを回遊
東京都豊島区は2019年度に運行を開始するEVバスのデザインを公表。池袋の都心に新しいバスを走らせる狙いを聞いた。
東京・池袋で、赤く鮮やかなバスが公園や商業施設を回遊する。東京都豊島区は2019年に、池袋駅周辺で小型の電気自動車(EV)バスを運行する予定だ。デザインなどの概要を公表した。
池袋駅といえば、多くの鉄道が乗り入れる巨大ターミナル駅を想像するかもしれないが、路線バスの運行も多い。すでに利便性が高い地域に新しいバスを走らせるのはなぜだろうか。区の担当者に聞いた。
池袋を象徴するバスに
EVバスが走るのは、再開発が進む池袋駅の周辺地域。16年4月にリニューアルした南池袋公園、19年秋にリニューアルする池袋西口公園と中池袋公園、20年春オープン予定の造幣局跡地防災公園、20年夏オープン予定の商業施設「Hareza(ハレザ)池袋」を回遊する。運行範囲は、池袋駅から最長で約1キロ圏内。他の停留所は未定だが、池袋駅東口や区役所など、ニーズに応じて検討するという。運行事業者は公募で決定する。
全国各地の地方都市では、駅を起点としたコミュニティーバスが多数運行されており、観光地では観光スポットをめぐるバスの利便性が高い。このような事例は多数あるが、区の担当者によると、「主に観光用途で、公共施設などを回遊する小型の定期バスはあまりない」という。「駅の周辺で絶えず見ることができる、池袋を象徴するバスにしたい」と担当者は話す。そのため、「環境に優しい都市」のイメージを発信するEVを採用した。10台程度の導入を検討している。
車両コンセプトにも力が入っている。車両などのデザインは、「ななつ星in九州」など全国各地の観光列車や駅舎のデザインで知られる、ドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏が担当。すでに多数のデザインを手掛けている水戸岡氏に依頼した理由は、「トータルプロデュースをお願いできるから」だという。「車体のデザインだけでなく、バス停や制服、チケット、ルート案内図など、街づくりをトータルで考えてもらいたい」(担当者)
主な利用客は、観光客など外から訪問する人を想定。それ以外にも、高齢者や子どもを連れたファミリーなど、長い距離を歩き回ることが難しい人にも利用してもらう。「池袋駅に電車やバスが集中しており、現状では駅を起点として歩いて行く商業施設などが多い。それに加えて、より広い範囲でいろんな場所に行ってもらい、街を見てもらいたい」と担当者は話している。
豊島区は14年、日本創生会議が公表した「消滅可能性都市」に、東京23区で唯一該当。その後、女性が暮らしやすい街づくりを推進し、公園の整備や待機児童減少などを実施してきた。それ以前から進めてきた、区の中心的存在である池袋の再開発もさらに加速させている。
担当者は「大小さまざまな劇場を通して、誰もが主役になれる『劇場都市』を目指している。回遊するバスによって、それを感じてもらいたい」と話している。
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