なぜこんなことに? 平昌五輪、運営側の問題:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
平昌五輪で活躍する選手たちの姿を見て、一喜一憂している人も多いのでは。テレビや新聞などは日本人選手の活躍を報じているが、筆者の臼北氏は大会運営で気になることがあるという。それは……。
他人事のように笑ってばかりではダメ
思えば大会期間中にもかかわらず、韓国の文在寅大統領は北朝鮮にばかり目が行き“五輪外交”に振り回されっぱなしだ。平昌五輪開会式に出席した金永南最高人民会議常任委員長を団長とする北朝鮮高官代表団と文大統領が10日、ソウルの大統領府で会談。この代表団のメンバーには金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第一副部長も含まれ、文大統領には親書を携えての訪朝を要請するなど南北融和のムードを高め、圧力を高めている米国から切り離そうと揺さぶりをかけてきた。
この平昌五輪で北朝鮮側は芸術団や美女応援団を次々と派遣し、開会式では両国の代表団が統一旗を掲げて合同入場することも許可。さらにアイスホッケー女子で南北合同チームを結成することを決めたのも米国、そして日本との三国ラインを形成させないがための緻密な切り崩し作戦ではないか、といった指摘もある。
そうした裏を読み切れず北のプリンセス、金党第一副部長に骨抜きにされ、北側の融和路線にあっさりと乗っかってしまっている文大統領には国内からも批判が殺到し始めている。韓国国内で「平昌五輪」ならぬ「平壌五輪」だとやゆされているのは、そのためだ。ホスト国の元首がブレまくっていては、平昌五輪の運営が随所でずさんさを露呈してしまうのもうなずける。
このように書くと、「韓国だから仕方がない」と思われたかもしれないが、他人事のように笑ってばかりもいられない。東京五輪の開催は2年後に迫っている。不平不満が続出している平昌五輪をしっかりと検証した上で、ホスト国として日本及び大会組織委員会は東京五輪を必ずや成功に導かなければいけない。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
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