韓国のライバルにも、KYな質問にも。小平奈緒の“神対応”に、称賛の声:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)
平昌冬期五輪のスピードスケート女子500メートルで日本女子初となった金メダリスト、小平奈緒選手。彼女は類まれなスケーティング能力もさることながら、1人の人間としてもキラリと光り輝いていた。
戦いが終われば健闘を称え合う
それでも小平は李の気持ちと彼女が置かれた立場を理解し、ライバルでありながら心の中では尊敬の念もずっと変わらず抱き続けていた。それは李も同じで公の場で会話を交わす機会はほとんどなくなっても、特に互いに火花を散らし合う試合が終わるとメディアが見ていないところで小平に声をかけ、友情の炎を完全に消しうることはしなかった。
そしてフタを開けると李は小平に負けを喫してしまった。
日韓関係が冷え切っているなかで、表彰台の一番高い位置に立つ権利を得た小平はレースが終わった後、これ見よがしに勝ち誇って韓国国民に日本の強さをアピールすることもできた。しかし、彼女はそれをしなかった。日の丸国旗を背負いながらのウイニングランもそこそこに敗れた李のもとへ行き、あの名場面が生まれた。
もしかすると韓国内で日本敵視を主張している人たちから反発を招くことも考えられたし、日本でも特にネトウヨなどからバッシングを受けてしまう流れが起こり得る可能性があったかもしれない。
しかし、それも杞憂(きゆう)に終わった。小平は、そんなことなどみじんも考えずにただ純粋な気持ちで行動した。戦いが終われば勝者も敗者もいがみ合わず、健闘を称え合う。底に憎しみなど当然ない。これこそがスポーツの原点だ。
小平は、日韓関係にいい意味でくさびを打ち込んだ。スポーツマンシップにのっとった彼女の純粋な行動に両国の国民が胸を打たれ、気付かされたに違いない。いがみ合ってばかりいるのが、何て愚かなことなんだと。そして友情とは何て素晴らしいものなんだろうと。いま一度、我々に日韓の関係性を考え直す機会を与えてくれた小平の素晴らしき行動も競技に加えて金メダルに匹敵するものだったと言える。
関連記事
- 卓球王者の張本が、いまひとつ支持を得られない要因
全日本卓球選手権の男子シングルス決勝で、14歳の張本智和が王者・水谷隼を破って優勝した。最年少優勝の偉業を達成したのに、いまのところ“張本フィーバー”は起きていない。なぜ新王者がいまひとつ支持されないかというと……。 - 大人たちによって作り上げられた“ポスト真央”、本田真凛の悲劇
オトナたちによって作り上げられた「悲劇のスター候補」だったのかもしれない。女子フィギュアスケートの本田真凛のことだ。期待されていた韓国・平昌五輪の代表入りを逃してしまったことで、今後の彼女はどうなる? - 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。 - なぜ地図で「浅草寺」を真ん中にしてはいけないのか
地図を作成している編集者に、2枚の地図を見せてもらった。1枚は浅草寺が真ん中に位置していて、もう1枚は浅草寺が北のほうにある。さて、実際に地図に掲載されているのは、どちらなのか。答えを聞いたところ、予想外の結果に!? - 「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界
訪日観光客の間で「着物」がブームとなっている。売り上げが低迷している着物業界にとっては千載一遇かもしれないが、浮かれていられない「不都合な真実」があるのではないだろうか。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.