採用のカギは就活生の“親”? 「オヤカク」が増加している理由:親向けの採用ページも作成
売り手市場によって、新卒の確保に苦戦する企業。内定辞退者を軽減させる対策として「オヤカク」を実施する企業が増えているという。
採用力を強化する施策として、企業は就活生の「親」に目を付けている――。
3月1日から2019年卒の就職活動が本格的にスタートする。近年、景気回復や人手不足によって「売り手市場」が続いており、17年4月の有効求人倍率はバブル期の水準(1.46倍)を上回る1.48倍を記録した。企業は学生を採用しても内定辞退者が続出するなど、新卒の確保に苦戦している。
そうした中、内定辞退者を減らす対策として、就活生の親が内定承諾に賛同しているかどうかを確認したり、親に賛同してもらうための通称「オヤカク」を実施する企業が増えているという。
人材サービスのネオキャリアの調査によると、17年の採用活動で「オヤカク」を実施した企業は41.3%に上った。「オヤカク」の内容は「企業情報資料を親へ配布・送付」(18.4%)が最も多く、次いで「電話による挨拶」(8.1%)、「親向けの内定同意書を配布・送付」(6.8%)と続いた。
親向けの採用ページ作成や、セミナーの実施、懇親会などの「オヤカク」を実施する企業も一定数みられた。
「オヤカク」の実施が必要だと考える企業は58.4%。その背景にあるのは「就活における親の関与度の変化」だ。「親の意向で内定辞退を申し出てきた新卒学生がいる」と答えた企業は約半数に上り、また「就活における親の関与度が上がっている」と感じている企業は58.7%に上った。
ネオキャリアは「就活生の大半が親に就職先の相談をしている。また、売り手市場ということもあり、親も子どもに対して、よりいい会社に就職してほしいとの期待が高まっている」と説明。
「企業から当社にオヤカクに関する相談を受ける頻度は、3年前から1.5倍ほど増えた。現在は3社に1社からは相談を受けている」(ネオキャリア)
また、親に企業のファンになってもらうことによって、入社後の早期離職の防止につなげたい考えもあるそうだ。人手不足が深刻化し、「採用氷河期」を迎えた企業は人材の確保に必死だ。
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