マスコミが「官僚の不正体質」より「内閣」を叩く、その背景:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
2014年に安倍政権が作った「内閣人事局」を巡る報道が、「忖度」によってゆがめられている。官僚を被害者のように触れ回る報道の裏には、高級官僚に対するマスコミの「忖度」がある。なぜマスコミが忖度するのかというと……
官僚に対するマスコミの「忖度」
では、なぜこういう常軌を逸した「ゆがめられた報道」になってしまうのかといえば、個人的には、官僚に対する「忖度」があるとしか思えない。
「この安倍信者のネトウヨめ! 中立公正を掲げる立派なマスコミの皆さんが官僚に忖度する理由などあるわけがないだろ!」という怒声があちこちから鳴り止まぬ感じだろうが、残念ながら彼らのビジネスモデルをみれば、「官僚の方を見て忖度する」という構造的問題が生まれるのは明らかだ。
今回の朝日新聞の「改ざんスクープ」などを見れば一目瞭然だが、基本的にマスコミの「特ダネ」は「高級官僚からのリーク」によって成り立っている。調査報道の「原材料」を供給している、という意味では、サプライヤーとメーカーの関係をイメージしていただければ分かりやすいかもしれない。
表向きは政権への忠誠を見せながら、腹の中では舌を出しているような高級官僚がこっそりと内部資料を流し、自分を利するようなネタを食わし、ときに憎き政敵の悪口を触れ回る。これが皆さんも記事などでよく見る「政府関係者」の正体だ。
こういうリーク官僚にマスコミは頭が上がらない。どんな組織でも出世するには結果が求められる。マスコミ記者の場合は「特ダネ」だが、先ほども述べたようにこれは官僚リークとほぼ同義だ。この受け皿になれるように、記者たちは「夜討ち朝駆け」という官舎詣でをおこない、将来有望な官僚との信頼関係構築にいそしむ。それは裏を返せば、新人時代からのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で「高級官僚に忖度する」という体質が骨の髄までたたき込まれる、ということでもある。
なんてことを言うと、オレは官僚なんぞにこびたことは一度もないぞ、と腹を立てるマスコミ記者の方もいるかもしれないが、先ほどの「官僚」への言及と同じで、これはマスコミで働く人々のことを批判しているわけではない。筆者も友人・知人にマスコミ記者が多いので、多くの人が正義感も強く、優秀な人が多いのは目の当たりにしている。
ただ、そういう個々のジャーナリストの資質や能力とは別に、マスコミという組織の体質を振り返れば、官僚の方を見て忖度せざるを得ない構造だと言いたいのである。
その最大の根拠が「人事異動」だ。
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